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(まったくの無視ってのも、おもしろくねえよな……)
洋平は心の中だけでケッと毒づいた。
そんな洋平には気付きもせず、伊理穂は流川と楽しそうに会話をしている。
「流川くん、どうしたの?」
「月瀬、今日オレら日直」
「うそぉ!?」
「ほんと」
「あ、じゃあ日誌取りに行かなきゃだよね!?」
慌てる伊理穂に、流川が小さく頷く。
「あわわ、じゃあ急がなくっちゃ。洋平、花道、わたし先行くね! 行こう、流川くん!」
咳き込むようにそれだけ言うと、伊理穂は流川を伴って大慌てで走っていった。
手を振る洋平の横で、花道がチッと舌打ちをする。
「ルカワのやろ~。伊理穂にちょっかい出しやがって!」
「ハハ。花道、日直だってんなら仕方ないだろ?」
「洋平はよく平気だな! オレはハルコサンとルカワが話してるの見てるだけでムカムカするぞ」
「ん~? まあ、オレは保護者だからな」
憤慨しながら言う花道に、洋平は眉を下げて笑ってみせた。
「洋平……」
何を感じ取ったのか花道が、どこかハッとしたような表情で洋平を見つめてくる。
洋平はその花道の視線を笑顔で受け流していると、ふと視界に見慣れた手提げバッグが映った。
「お?」
近寄って見ると、思ったとおり、それは伊理穂の手提げバッグだった。
中には可愛らしい巾着に包まれたお弁当箱と、500mlサイズの水筒が入っている。
「アイツ、慌ててお弁当忘れていきやがった」
洋平はそれを手に取ると、小さく嘆息した。
体育館に視線をめぐらせても、他にお弁当を渡すのを頼める人がいそうもない。
「…………」
洋平はしばらく眉間に皺を寄せて考えた後、諦めたようにひとつ息を吐いた。
本当なら、不良の自分が伊理穂の教室にお弁当を届けに行くなんて避けたいのだが、他に頼める人もいないのでは、自分が渡しに行くよりほかなかった。
「しょうがねえな。ったく」
洋平は重い息と共に吐き出すと、洋平の様子に首を傾げていた花道を連れて、教室へと戻っていった。
昼休み。待ちに待ったお弁当タイムだ。
伊理穂はうきうきと胸を弾ませながら、お弁当を提げているバッグを取ろうと、机の横に手を伸ばした。
が、伊理穂の手は目的の物を掴むことなく、むなしく宙を切る。
「あれ?」
幾度かそれを繰り返した後、伊理穂は訝しげに顔をしかめて、机の横を覗き込んだ。
「!?」
そして、絶叫する。