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「おはよう、流川くん!」
伊理穂は急いで玄関から飛び出すと、伊理穂の家の前で待つ流川に元気よく挨拶をした。
「おはよう、伊理穂」
流川が伊理穂に薄く微笑み返す。
その笑顔を見て、伊理穂の胸が小さく弾んだ。
(ほんとうに、流川くんと付き合うことになったんだ……!)
あまりの嬉しさに、伊理穂の頬が自然と緩みだす。
昨日の翔陽戦後、伊理穂は流川に自分の気持ちを伝え、晴れて二人は付き合い始めた。
今日は、彼氏彼女になって初めての朝。
バスケ部の朝練のない日は、近くにあるスポーツ公園のコートで練習していくという流川に、ぜひ一緒に行かせて欲しいと伊理穂が申し出て今に至っている。
「伊理穂、歩きか?」
出てきた伊理穂を一瞥して、流川が言った。
伊理穂はそれに、うんと頷く。
「うちから学校まではそんなに距離ないから歩きなんだけど……。自転車の方がいい? どうしよう、自転車、学校に申請してない」
戸惑うように伊理穂が言うと、流川が自分の自転車の後ろを顎で示した。
「……乗れ」
「え?」
「後ろ。乗せてやる。ニケツしたことあるか?」
「あ、ううん。初めて」
答えながら、伊理穂は流川の自転車を見つめた。
流川の自転車はいわゆるママチャリではなく、ギアが何段もついたマウンテンバイクだった。
この場合の二人乗りは、おそらく後輪のハブステップに足を乗せて立ち乗りだろう。
二人乗り初心者の自分にそれができるだろうか。
(スカートとか、バランスとか、大丈夫かな)
伊理穂が難しい顔で黙り込んでいると、流川がおもむろに自転車を降りた。
「流川くん?」
不思議に思って小首を傾げると、
「伊理穂、お前が乗れ。オレは隣りを走る」
「え!?」
その提案に、伊理穂は瞳を見開いた。
「いや、そんな悪いよ! だって、流川くんの自転車なのに」
「かまわねー。……情けねーけど、お前も知ってるとおり、オレはちょっとスタミナに自信がねー。だから、いいトレーニングになる。お前乗れ」
「で、でも……。いいの、流川くん?」
「ん、その方が安心だ」
言いながら、流川は自転車の前でしゃがみ込むと、かなり高くまで上げていたサドルを、一気に一番下まで下げた。身長148㎝の伊理穂では、流川に合わせた位置では乗れないと判断したからだろう、細かなところまで気遣ってくれる流川の優しさに、伊理穂の顔が自然と笑顔になった。
「ありがとう、流川くん。じゃあ、お言葉に甘えて自転車借りようかな」
「おう」
「ただし。流川くんがトレーニングというからには、わたしもマネージャーとして厳しく指導しようと思います。――キミについて来れるかね?」
「ム……。よろしくお願いします」
おどけたように伊理穂が言うと、流川がしゃんと背筋を伸ばしてぺこりと頭を下げた。
あははと笑い声をあげながら、伊理穂は自転車に跨る。
流川のエナメルカバンを肩からかけて、自分のカバンをハンドルにかけると、伊理穂はペダルに足を乗せた。
伊理穂は急いで玄関から飛び出すと、伊理穂の家の前で待つ流川に元気よく挨拶をした。
「おはよう、伊理穂」
流川が伊理穂に薄く微笑み返す。
その笑顔を見て、伊理穂の胸が小さく弾んだ。
(ほんとうに、流川くんと付き合うことになったんだ……!)
あまりの嬉しさに、伊理穂の頬が自然と緩みだす。
昨日の翔陽戦後、伊理穂は流川に自分の気持ちを伝え、晴れて二人は付き合い始めた。
今日は、彼氏彼女になって初めての朝。
バスケ部の朝練のない日は、近くにあるスポーツ公園のコートで練習していくという流川に、ぜひ一緒に行かせて欲しいと伊理穂が申し出て今に至っている。
「伊理穂、歩きか?」
出てきた伊理穂を一瞥して、流川が言った。
伊理穂はそれに、うんと頷く。
「うちから学校まではそんなに距離ないから歩きなんだけど……。自転車の方がいい? どうしよう、自転車、学校に申請してない」
戸惑うように伊理穂が言うと、流川が自分の自転車の後ろを顎で示した。
「……乗れ」
「え?」
「後ろ。乗せてやる。ニケツしたことあるか?」
「あ、ううん。初めて」
答えながら、伊理穂は流川の自転車を見つめた。
流川の自転車はいわゆるママチャリではなく、ギアが何段もついたマウンテンバイクだった。
この場合の二人乗りは、おそらく後輪のハブステップに足を乗せて立ち乗りだろう。
二人乗り初心者の自分にそれができるだろうか。
(スカートとか、バランスとか、大丈夫かな)
伊理穂が難しい顔で黙り込んでいると、流川がおもむろに自転車を降りた。
「流川くん?」
不思議に思って小首を傾げると、
「伊理穂、お前が乗れ。オレは隣りを走る」
「え!?」
その提案に、伊理穂は瞳を見開いた。
「いや、そんな悪いよ! だって、流川くんの自転車なのに」
「かまわねー。……情けねーけど、お前も知ってるとおり、オレはちょっとスタミナに自信がねー。だから、いいトレーニングになる。お前乗れ」
「で、でも……。いいの、流川くん?」
「ん、その方が安心だ」
言いながら、流川は自転車の前でしゃがみ込むと、かなり高くまで上げていたサドルを、一気に一番下まで下げた。身長148㎝の伊理穂では、流川に合わせた位置では乗れないと判断したからだろう、細かなところまで気遣ってくれる流川の優しさに、伊理穂の顔が自然と笑顔になった。
「ありがとう、流川くん。じゃあ、お言葉に甘えて自転車借りようかな」
「おう」
「ただし。流川くんがトレーニングというからには、わたしもマネージャーとして厳しく指導しようと思います。――キミについて来れるかね?」
「ム……。よろしくお願いします」
おどけたように伊理穂が言うと、流川がしゃんと背筋を伸ばしてぺこりと頭を下げた。
あははと笑い声をあげながら、伊理穂は自転車に跨る。
流川のエナメルカバンを肩からかけて、自分のカバンをハンドルにかけると、伊理穂はペダルに足を乗せた。