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「でも、相手が伊理穂チャンだからねえ……」
はは、と洋平は苦笑した。
一生懸命、自分を励ましてくれる花道の存在が、ひどくありがたかった。
「サンキュ、花道。元気でたわ」
「――ほんとうに大丈夫か?」
図るような花道の視線に、洋平は小さく笑みを返す。
壊したいと、全て欲しいと思うこの感情を持つこと自体が罪だと思っていたけれど、花道にそうじゃないと言われて、ハッと目が覚めた気がした。
言われてみれば確かにそうかもしれない。考えることくらいは、きっと誰だってする。
ほんとうに重要なのはそこではなくて、実際にそれを行動に移してしまうかどうかだ。
(そうだ。思うことを無理矢理止めようとするから、暴走しそうになるんだよな……?)
洋平の心が、少しだけ楽になった。
「ありがとうな、花道」
「……大丈夫なら、いいけどよ。なんかあったらオレに言えよ? 聞くだけしかできねーけど、それでもオレはお前の味方だからな」
「……ああ。頼りにしてるぜ」
「おう」
照れたように頬をかく花道に、洋平は薄く微笑んだ。
バスケ部はついに四回戦の対戦相手・古豪津久武を倒して、神奈川ベスト8にまでなった。
明日はいよいよ、去年インターハイ出場を決めた強豪・翔陽高校と対戦だ。
前日の今日は、各自明日に充分に備えるようにとのことで、軽い練習だけで早めに終わった。
流川は部室に入ると、急いで汗を拭いて制服に着替えた。
外には伊理穂を待たせている。
今日は洋平はバイトでいない。いつも邪魔な三井も、病院に膝の検診に行くとかで既に帰宅していた。
伊理穂と二人きりの貴重な帰り道だ。
流川は急いで鞄を肩にかけると、逸る心を隠すように平静を装って、自分を待つ伊理穂の後ろ姿に声をかけた。
「わりー、待たせた」
伊理穂は振り向いて、流川に満面の笑顔を向けてくれる。
「流川くん。全然待ってないよ」
伊理穂の笑顔に胸を熱くしながら、流川は無言で伊理穂の前を歩いた。
そのまま自転車置き場で自転車を取り出すと、自身のあとをついてきていた伊理穂の鞄を奪って、カゴに放り込む。
「流川くん、ありがとう」
「気にすんな。行くぞ」
「うんっ」
二人並んで、すっかり日の落ちた道を歩く。
流川の押す自転車の車輪の音だけが、からからと二人の合間をすり抜ける。
その静寂を破るように、伊理穂が口を開いた。
「ついにここまで来たね」
振り向く流川に、伊理穂が笑顔を向ける。
「明日、翔陽戦でしょ? それに勝ったらベスト4で、決勝リーグ進出だもんね!」
「絶対負けねー」
「うん!」
流川の言葉に伊理穂は満面の笑みを浮かべる。
はは、と洋平は苦笑した。
一生懸命、自分を励ましてくれる花道の存在が、ひどくありがたかった。
「サンキュ、花道。元気でたわ」
「――ほんとうに大丈夫か?」
図るような花道の視線に、洋平は小さく笑みを返す。
壊したいと、全て欲しいと思うこの感情を持つこと自体が罪だと思っていたけれど、花道にそうじゃないと言われて、ハッと目が覚めた気がした。
言われてみれば確かにそうかもしれない。考えることくらいは、きっと誰だってする。
ほんとうに重要なのはそこではなくて、実際にそれを行動に移してしまうかどうかだ。
(そうだ。思うことを無理矢理止めようとするから、暴走しそうになるんだよな……?)
洋平の心が、少しだけ楽になった。
「ありがとうな、花道」
「……大丈夫なら、いいけどよ。なんかあったらオレに言えよ? 聞くだけしかできねーけど、それでもオレはお前の味方だからな」
「……ああ。頼りにしてるぜ」
「おう」
照れたように頬をかく花道に、洋平は薄く微笑んだ。
バスケ部はついに四回戦の対戦相手・古豪津久武を倒して、神奈川ベスト8にまでなった。
明日はいよいよ、去年インターハイ出場を決めた強豪・翔陽高校と対戦だ。
前日の今日は、各自明日に充分に備えるようにとのことで、軽い練習だけで早めに終わった。
流川は部室に入ると、急いで汗を拭いて制服に着替えた。
外には伊理穂を待たせている。
今日は洋平はバイトでいない。いつも邪魔な三井も、病院に膝の検診に行くとかで既に帰宅していた。
伊理穂と二人きりの貴重な帰り道だ。
流川は急いで鞄を肩にかけると、逸る心を隠すように平静を装って、自分を待つ伊理穂の後ろ姿に声をかけた。
「わりー、待たせた」
伊理穂は振り向いて、流川に満面の笑顔を向けてくれる。
「流川くん。全然待ってないよ」
伊理穂の笑顔に胸を熱くしながら、流川は無言で伊理穂の前を歩いた。
そのまま自転車置き場で自転車を取り出すと、自身のあとをついてきていた伊理穂の鞄を奪って、カゴに放り込む。
「流川くん、ありがとう」
「気にすんな。行くぞ」
「うんっ」
二人並んで、すっかり日の落ちた道を歩く。
流川の押す自転車の車輪の音だけが、からからと二人の合間をすり抜ける。
その静寂を破るように、伊理穂が口を開いた。
「ついにここまで来たね」
振り向く流川に、伊理穂が笑顔を向ける。
「明日、翔陽戦でしょ? それに勝ったらベスト4で、決勝リーグ進出だもんね!」
「絶対負けねー」
「うん!」
流川の言葉に伊理穂は満面の笑みを浮かべる。