ケンカの常套句、その結末
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考えたら目頭が熱くなってしまった。
零れそうになった涙をぬぐって、帰ろうと立ち上がる。
帰りのHRはとっくに終わって、もう太陽も西に沈みかけてる。
オレンジの西日が滲む目に痛い。
そんなことを思ったときだった。
乾いた音を立てて教室のドアがスライドした。
視線を向けると、そこには前島の姿。
先日、黒板にわたしたちのことを大々的に書いて、別れるきっかけをくれた男だ。
感謝と、よけいなことしやがってという相反する気持ちがせめぎあう。
だけど、そのことについてなにかを言うほど仲良しなわけでもないから、そのまま帰ろうと決めた。
鞄を持って歩き出す。
と。
「待てよ」
前島に呼び止められた。
びっくりだ。
滅多に会話なんて交わさないのに。
「どうしたの?」
前島は顔を伏せて、小さな声でなにかをぼそぼそと言う。
「……だ」
「え?」
聞き取れなくて眉根を寄せると、前島が勢い良く顔をあげた。
「好きなんだ、柏木のこと!」
「!」
顔をあげた前島の口から飛び出してきたのは、全く予想していなかった言葉だった。
頭の中が一気にパニックになる。
前島の顔が耳まで真っ赤に染まってて、いやだけどそれは西日のせいだよなんて脳が現状を否定しようと躍起になる。
「……え?」
聞き返すことしかできなかった、芸のない自分が悲しい。
混乱のせいかぐるぐる回りだす視界。倒れないようにと必死に踏ん張りながら、脳内から言葉を絞りだす。
「うそでしょ?」
なんて語彙力がないんだわたし!
絞りだした言葉の貧困さに絶望していると、前島がこちらへ足を踏み出してきた。
二の腕を強くつかまれて、喉から小さく悲鳴が漏れる。
間近にある前島の瞳と視線がぶつかる。
真剣な色。
本気だ。
「ちょ、前島。離して……」
「嫌だ、離さない」
「痛いよ」
「……信じてくれるなら離してもいい」
「わかった。信じる。信じるから」
咳き込むように言うと、前島の両手が腕から離れた。
掴まれたところがじんじんして痛い。
さするようにそこを撫でていると、前島がどこか切羽詰ったような声音で言った。
「なあ。神が部活ばっかりだったから嫌になったんだろ?」
「え?」
「部活ばっかり優先で、お前のことないがしろにするから、だから辛かったんだろ?」
真剣な表情の前島。
畳み掛けるように言って来る。
「違うよ」
「ウソつけよ! お前、あの時それで怒ってたじゃねえか。――なあ、柏木」
再び前島の手が腕に伸びる。
零れそうになった涙をぬぐって、帰ろうと立ち上がる。
帰りのHRはとっくに終わって、もう太陽も西に沈みかけてる。
オレンジの西日が滲む目に痛い。
そんなことを思ったときだった。
乾いた音を立てて教室のドアがスライドした。
視線を向けると、そこには前島の姿。
先日、黒板にわたしたちのことを大々的に書いて、別れるきっかけをくれた男だ。
感謝と、よけいなことしやがってという相反する気持ちがせめぎあう。
だけど、そのことについてなにかを言うほど仲良しなわけでもないから、そのまま帰ろうと決めた。
鞄を持って歩き出す。
と。
「待てよ」
前島に呼び止められた。
びっくりだ。
滅多に会話なんて交わさないのに。
「どうしたの?」
前島は顔を伏せて、小さな声でなにかをぼそぼそと言う。
「……だ」
「え?」
聞き取れなくて眉根を寄せると、前島が勢い良く顔をあげた。
「好きなんだ、柏木のこと!」
「!」
顔をあげた前島の口から飛び出してきたのは、全く予想していなかった言葉だった。
頭の中が一気にパニックになる。
前島の顔が耳まで真っ赤に染まってて、いやだけどそれは西日のせいだよなんて脳が現状を否定しようと躍起になる。
「……え?」
聞き返すことしかできなかった、芸のない自分が悲しい。
混乱のせいかぐるぐる回りだす視界。倒れないようにと必死に踏ん張りながら、脳内から言葉を絞りだす。
「うそでしょ?」
なんて語彙力がないんだわたし!
絞りだした言葉の貧困さに絶望していると、前島がこちらへ足を踏み出してきた。
二の腕を強くつかまれて、喉から小さく悲鳴が漏れる。
間近にある前島の瞳と視線がぶつかる。
真剣な色。
本気だ。
「ちょ、前島。離して……」
「嫌だ、離さない」
「痛いよ」
「……信じてくれるなら離してもいい」
「わかった。信じる。信じるから」
咳き込むように言うと、前島の両手が腕から離れた。
掴まれたところがじんじんして痛い。
さするようにそこを撫でていると、前島がどこか切羽詰ったような声音で言った。
「なあ。神が部活ばっかりだったから嫌になったんだろ?」
「え?」
「部活ばっかり優先で、お前のことないがしろにするから、だから辛かったんだろ?」
真剣な表情の前島。
畳み掛けるように言って来る。
「違うよ」
「ウソつけよ! お前、あの時それで怒ってたじゃねえか。――なあ、柏木」
再び前島の手が腕に伸びる。