最終回はナシの方向で
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「くっ……! なによ、珍しく機嫌が悪いんだから」
「ぁあ!?」
「なーんでもありませんよーっだ」
片眉を凶悪に吊り上げて見下ろしてくる越野に、名前はべっと舌を突き出すと、そのまま自分の席へと歩き出した。
床を力強く蹴って荒々しく席に座る。
と。
「おはよ、名前。朝から越野にいじめられてたみたいだけど、大丈夫?」
隣の席の仙道が笑いをこらえるように言ってきた。
「あ、う、うんっ」
咄嗟のことに、思わず名前は仙道から顔を背けてしまう。
しまったと思ってももう遅い。
「名前?」
仙道が訝しそうに名前の名前を呼ぶ。
仙道のほうをちゃんと見て話さなきゃと思うのに、名前はどうしてもそうすることができなかった。
まるで自分のものじゃないみたいにからだが言うことを利かない。
仙道と、どう接したらいいのかわからない。
邪魔に思われてるのかもしれないと思うと、怖くて向き合えなかった。
「あ、えーと、えへへ、宏明ってばムカつくよね」
「……うん。ねえ、こっち向いてよ、名前」
「あー……。首、寝違えちゃって……」
「…………」
ふいに仙道が黙ったかと思うと、突然目の前に仙道の顔が現れた。
「わっ!」
どうやら席を立って回り込んできたらしい。
反射的に逆方向に首を回転させて、あ、と思う。
仙道の立つ左側から体中に視線が突き刺さって、じんじん痛い。
「首、寝違えてないじゃん」
「…………」
「うわってなに、名前。オレ何かした? もしかして昨日デートできなかったこと怒ってるの?」
その問いに、名前は無言で首を横に振る。
息をつめるような沈黙ののち、仙道が動いた気配がして、空いていた仙道の席に再び彼が腰掛けた。
落とした視界に飛び込む仙道のからだ。
今度は顔を背けることもできなくて、俯いた名前の顔を、仙道が下から覗き込んでくる。
「じゃあ、どうしたの?」
じっと見つめてくる、長い睫毛に縁取られた綺麗な仙道の瞳。
思わず視界が滲んできて、名前は慌てて顔をそらした。
「な、なんでもない。ちょっと具合が悪くて……」
「……ふうん」
苦し紛れの名前の言い訳に、仙道が釈然としない様子で頷いた。
名前の胸がずきずきと罪悪感に痛む。
仙道に直接邪魔だと言われたわけじゃない。
仙道に直接負担だといわれたわけじゃない。
そもそも昨日のあの言葉は、田岡の言及を避けるための冗談だったのかもしれない。
だけど、邪魔になっているかもしれないと思うだけで、胸が苦しかった。
仙道の重荷にだけは絶対になりたくなかった。
だけど、仙道にそれを直接確認する勇気もない。
邪魔になるくらいならそばを離れたほうがマシだと思うのに、それを確認することさえできない意気地なしな自分に涙が出た。
いつもは嬉しい仙道との隣りの席が今日はとても苦しく感じられて、名前の胸をさらに締め付けた。
「ぁあ!?」
「なーんでもありませんよーっだ」
片眉を凶悪に吊り上げて見下ろしてくる越野に、名前はべっと舌を突き出すと、そのまま自分の席へと歩き出した。
床を力強く蹴って荒々しく席に座る。
と。
「おはよ、名前。朝から越野にいじめられてたみたいだけど、大丈夫?」
隣の席の仙道が笑いをこらえるように言ってきた。
「あ、う、うんっ」
咄嗟のことに、思わず名前は仙道から顔を背けてしまう。
しまったと思ってももう遅い。
「名前?」
仙道が訝しそうに名前の名前を呼ぶ。
仙道のほうをちゃんと見て話さなきゃと思うのに、名前はどうしてもそうすることができなかった。
まるで自分のものじゃないみたいにからだが言うことを利かない。
仙道と、どう接したらいいのかわからない。
邪魔に思われてるのかもしれないと思うと、怖くて向き合えなかった。
「あ、えーと、えへへ、宏明ってばムカつくよね」
「……うん。ねえ、こっち向いてよ、名前」
「あー……。首、寝違えちゃって……」
「…………」
ふいに仙道が黙ったかと思うと、突然目の前に仙道の顔が現れた。
「わっ!」
どうやら席を立って回り込んできたらしい。
反射的に逆方向に首を回転させて、あ、と思う。
仙道の立つ左側から体中に視線が突き刺さって、じんじん痛い。
「首、寝違えてないじゃん」
「…………」
「うわってなに、名前。オレ何かした? もしかして昨日デートできなかったこと怒ってるの?」
その問いに、名前は無言で首を横に振る。
息をつめるような沈黙ののち、仙道が動いた気配がして、空いていた仙道の席に再び彼が腰掛けた。
落とした視界に飛び込む仙道のからだ。
今度は顔を背けることもできなくて、俯いた名前の顔を、仙道が下から覗き込んでくる。
「じゃあ、どうしたの?」
じっと見つめてくる、長い睫毛に縁取られた綺麗な仙道の瞳。
思わず視界が滲んできて、名前は慌てて顔をそらした。
「な、なんでもない。ちょっと具合が悪くて……」
「……ふうん」
苦し紛れの名前の言い訳に、仙道が釈然としない様子で頷いた。
名前の胸がずきずきと罪悪感に痛む。
仙道に直接邪魔だと言われたわけじゃない。
仙道に直接負担だといわれたわけじゃない。
そもそも昨日のあの言葉は、田岡の言及を避けるための冗談だったのかもしれない。
だけど、邪魔になっているかもしれないと思うだけで、胸が苦しかった。
仙道の重荷にだけは絶対になりたくなかった。
だけど、仙道にそれを直接確認する勇気もない。
邪魔になるくらいならそばを離れたほうがマシだと思うのに、それを確認することさえできない意気地なしな自分に涙が出た。
いつもは嬉しい仙道との隣りの席が今日はとても苦しく感じられて、名前の胸をさらに締め付けた。