最終回はナシの方向で
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「なにがいいことだよ」
仙道の視界がじんわりと滲んだ。
まぶたを閉じればそこに浮かぶ名前の笑顔。こんなに好きなのに。
「オレから名前を奪いやがって! いくら越野でもぜってえ許さねえからな!」
仙道は吐き捨てるように言って、越野の胸倉を乱暴に突き放した。
よろめいた越野が驚いたように声をあげる。
「はあ!? おい、待てよ仙道! 何言ってんだよ!?」
「何言ってんだじゃねえんだよ! 昼休みにお前ら二人が抱き合ってるとこ見たんだからな! 言い訳なんて……」
言いかけて、仙道は言葉を止めた。
越野がハッと深刻そうな表情になって、何かを考えるように顔を俯けた。
仙道の胸に言いようのない不安がよぎる。
「越野……?」
訝しげに名前を呼べば、越野が弾かれたように顔をあげた。
今度は越野が仙道の胸倉を焦ったように掴む。
「おい、それでどうしたんだよ、仙道!」
「え?」
「名前、教室にいただろ!? 名前、お前を待って教室にいたよな!? それでどうしたんだよ!」
「どうしたって……名前とは別れてきたよ。当たり前だろ? お前たちが想い合ってるの知って、そのまま呑気に付き合えるかよ」
答えると、越野の顔が泣きそうに歪んだ。
再び頬に感じる重い衝撃。お尻を体育館の硬い床に勢い良く打ち付ける。
越野に殴られた。そう理解したと同時に耳に飛び込んでくる、びりびりと空気を震わすような怒声。
滅多に見ない本気で怒る越野に、仙道は呆気にとられた。
「ふざけんなよ仙道! お前、何勘違いしてんだよ! 名前が俺を好きなわけないだろ!? 俺だってお前の彼女を好きになるわけないだろうが! お前ひとりでわけわかんなくなってんなよ! 名前の態度が今日おかしかったのはな、この前の日曜日にお前が監督に怒られてるのを偶然見ちまって、自分が仙道の邪魔になってるんじゃないかって悩んでたからなんだよ!」
越野の言葉に、仙道の心臓が凍りついた。
「は……?」
仙道の口から、吐息のような言葉が漏れる。
「うそ、だろ……?」
「こんなことでうそつくわけないだろ! 昼休み、俺はたまたま屋上で名前に会って、その相談を受けてたんだよ! 泣き出した名前に胸を貸してやったのはそりゃあ俺もうかつだったし謝るけど、お前の勘違いはもっと最低だ!」
「だって、オレ、てっきり……」
名前は越野を好きだと思ったから。
だから。
仙道は震える手で口許を押さえた。
ハッと目を見開く。
『名前は自分が仙道の邪魔になってるんじゃないかって悩んでたんだよ!』
「どうしよう……」
ぽつりと仙道が呟いた。
あ? と越野が顔をあげる。
「どうしよう、越野。オレ、名前に一番言っちゃいけないこと言っちまった……!」
「…………。どうしようもなにも、謝るしかねえだろ、バカ仙道」
「だけど、許してくれるかな」
「んなこと知るか! 女々しいことでうだうだ悩んでねえで、ちゃっちゃと行って謝って来いよ! ……マジで、取り返しつかなくなんぞ」
最後、越野は声を低くして言った。
仙道はそれに顔をあげて頷く。
仙道の視界がじんわりと滲んだ。
まぶたを閉じればそこに浮かぶ名前の笑顔。こんなに好きなのに。
「オレから名前を奪いやがって! いくら越野でもぜってえ許さねえからな!」
仙道は吐き捨てるように言って、越野の胸倉を乱暴に突き放した。
よろめいた越野が驚いたように声をあげる。
「はあ!? おい、待てよ仙道! 何言ってんだよ!?」
「何言ってんだじゃねえんだよ! 昼休みにお前ら二人が抱き合ってるとこ見たんだからな! 言い訳なんて……」
言いかけて、仙道は言葉を止めた。
越野がハッと深刻そうな表情になって、何かを考えるように顔を俯けた。
仙道の胸に言いようのない不安がよぎる。
「越野……?」
訝しげに名前を呼べば、越野が弾かれたように顔をあげた。
今度は越野が仙道の胸倉を焦ったように掴む。
「おい、それでどうしたんだよ、仙道!」
「え?」
「名前、教室にいただろ!? 名前、お前を待って教室にいたよな!? それでどうしたんだよ!」
「どうしたって……名前とは別れてきたよ。当たり前だろ? お前たちが想い合ってるの知って、そのまま呑気に付き合えるかよ」
答えると、越野の顔が泣きそうに歪んだ。
再び頬に感じる重い衝撃。お尻を体育館の硬い床に勢い良く打ち付ける。
越野に殴られた。そう理解したと同時に耳に飛び込んでくる、びりびりと空気を震わすような怒声。
滅多に見ない本気で怒る越野に、仙道は呆気にとられた。
「ふざけんなよ仙道! お前、何勘違いしてんだよ! 名前が俺を好きなわけないだろ!? 俺だってお前の彼女を好きになるわけないだろうが! お前ひとりでわけわかんなくなってんなよ! 名前の態度が今日おかしかったのはな、この前の日曜日にお前が監督に怒られてるのを偶然見ちまって、自分が仙道の邪魔になってるんじゃないかって悩んでたからなんだよ!」
越野の言葉に、仙道の心臓が凍りついた。
「は……?」
仙道の口から、吐息のような言葉が漏れる。
「うそ、だろ……?」
「こんなことでうそつくわけないだろ! 昼休み、俺はたまたま屋上で名前に会って、その相談を受けてたんだよ! 泣き出した名前に胸を貸してやったのはそりゃあ俺もうかつだったし謝るけど、お前の勘違いはもっと最低だ!」
「だって、オレ、てっきり……」
名前は越野を好きだと思ったから。
だから。
仙道は震える手で口許を押さえた。
ハッと目を見開く。
『名前は自分が仙道の邪魔になってるんじゃないかって悩んでたんだよ!』
「どうしよう……」
ぽつりと仙道が呟いた。
あ? と越野が顔をあげる。
「どうしよう、越野。オレ、名前に一番言っちゃいけないこと言っちまった……!」
「…………。どうしようもなにも、謝るしかねえだろ、バカ仙道」
「だけど、許してくれるかな」
「んなこと知るか! 女々しいことでうだうだ悩んでねえで、ちゃっちゃと行って謝って来いよ! ……マジで、取り返しつかなくなんぞ」
最後、越野は声を低くして言った。
仙道はそれに顔をあげて頷く。