最終回はナシの方向で
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「そ、そっか……」
仙道の言葉がスローモーションのように聞こえる。
このまま時が止まってしまえばいいのにと、名前は切に願った。
だけどそんな願いが叶うわけがなくて、仙道の次の言葉が無常にも紡がれる。
「うん。越野と幸せになってね」
「う、うん。ありがとう」
「うん。それじゃあね、名前。ばいばい」
仙道は爽やかにそう言うと、また明日ね、とでも言うように明るく手を振って、教室から出て行った。
名前はそれを見送って、ずるずるとその場に座り込む。
足に力が入らなかった。
ふとももに冷たい雫があたって、はじめて自分が泣いているのだと悟る。
なんてあっけないんだろう。
呆然とする頭で、名前は思った。
仙道にとって自分は、あんな爽やかな笑顔で、なんでもない事のように切り離してしまえる程度の存在だったんだ。
思い知って名前の胸が張り裂けそうになる。
『ちょうど名前のこと邪魔だなって思ってたんだ』
耳元でさっきの仙道の声がよみがえって、名前は両手で顔を覆った。
必死で下唇を噛んで、泣き声を堪える。
苦しい。
息が吸えない。
体の内側から散り散りになってしまうかと思うほど、胸が苦しくて痛い。
「うう……う、うう……!」
唇の隙間から、堪え切れなかった呻き声が漏れた。
膝に額を押し当ててうずくまる。
よかったじゃないか。
頭のどこかで声がした。
本格的に仙道の邪魔になる前に関係を終わらすことができて。これで仙道がバスケに専念できるようになって。
よかったじゃないか。
思うのに涙は止まらない。仙道を失った悲しみが大きくて、ずぶずぶと体が暗い水底に沈んでいくようだ。
「あきらぁ……!」
名前は、もう二度と手の届く事のない仙道の名前を呻くように呼んだ。
仙道が部活に出ると、越野がよお、とにやにや笑いながら現れた。
今一番見たくない顔がいの一番に寄って来て、仙道はうんざりと顔をしかめる。
越野に冷たい一瞥をくれてやると、仙道は越野を無視して歩き出した。
その後を越野が慌てたようについてくる。
「おい仙道! なんで無視すんだよ、ちょっと待て、よ……っ!?」
肩を掴んできた越野の頬に、仙道は振り向きざま拳を埋めた。
体重を乗せたそのパンチに、越野が軽く後ろに吹っ飛んでしりもちをつく。
仙道はじんじん痛む拳を振って、何が起こったかわからず呆然としている越野を鋭く睨んだ。
その場に居合わせた部員が、驚いて二人を凝視する。
「なっ! いてえな仙道! 何すんだよ!」
「うるせえ、相応の礼だ!」
「はあ!? てめえ、なにが相応だ! いいことしてやったのにふざけんな!」
今度は越野の拳が仙道の頬に沈んだ。
口の中を切ったのか、鉄の味がじんわりと口腔内に広がって、仙道はペッとつばを吐く。
仙道は怒りに任せて越野の胸倉を掴むと、額がくっつくほど顔を近づけてその顔を睨みつけた。
仙道の言葉がスローモーションのように聞こえる。
このまま時が止まってしまえばいいのにと、名前は切に願った。
だけどそんな願いが叶うわけがなくて、仙道の次の言葉が無常にも紡がれる。
「うん。越野と幸せになってね」
「う、うん。ありがとう」
「うん。それじゃあね、名前。ばいばい」
仙道は爽やかにそう言うと、また明日ね、とでも言うように明るく手を振って、教室から出て行った。
名前はそれを見送って、ずるずるとその場に座り込む。
足に力が入らなかった。
ふとももに冷たい雫があたって、はじめて自分が泣いているのだと悟る。
なんてあっけないんだろう。
呆然とする頭で、名前は思った。
仙道にとって自分は、あんな爽やかな笑顔で、なんでもない事のように切り離してしまえる程度の存在だったんだ。
思い知って名前の胸が張り裂けそうになる。
『ちょうど名前のこと邪魔だなって思ってたんだ』
耳元でさっきの仙道の声がよみがえって、名前は両手で顔を覆った。
必死で下唇を噛んで、泣き声を堪える。
苦しい。
息が吸えない。
体の内側から散り散りになってしまうかと思うほど、胸が苦しくて痛い。
「うう……う、うう……!」
唇の隙間から、堪え切れなかった呻き声が漏れた。
膝に額を押し当ててうずくまる。
よかったじゃないか。
頭のどこかで声がした。
本格的に仙道の邪魔になる前に関係を終わらすことができて。これで仙道がバスケに専念できるようになって。
よかったじゃないか。
思うのに涙は止まらない。仙道を失った悲しみが大きくて、ずぶずぶと体が暗い水底に沈んでいくようだ。
「あきらぁ……!」
名前は、もう二度と手の届く事のない仙道の名前を呻くように呼んだ。
仙道が部活に出ると、越野がよお、とにやにや笑いながら現れた。
今一番見たくない顔がいの一番に寄って来て、仙道はうんざりと顔をしかめる。
越野に冷たい一瞥をくれてやると、仙道は越野を無視して歩き出した。
その後を越野が慌てたようについてくる。
「おい仙道! なんで無視すんだよ、ちょっと待て、よ……っ!?」
肩を掴んできた越野の頬に、仙道は振り向きざま拳を埋めた。
体重を乗せたそのパンチに、越野が軽く後ろに吹っ飛んでしりもちをつく。
仙道はじんじん痛む拳を振って、何が起こったかわからず呆然としている越野を鋭く睨んだ。
その場に居合わせた部員が、驚いて二人を凝視する。
「なっ! いてえな仙道! 何すんだよ!」
「うるせえ、相応の礼だ!」
「はあ!? てめえ、なにが相応だ! いいことしてやったのにふざけんな!」
今度は越野の拳が仙道の頬に沈んだ。
口の中を切ったのか、鉄の味がじんわりと口腔内に広がって、仙道はペッとつばを吐く。
仙道は怒りに任せて越野の胸倉を掴むと、額がくっつくほど顔を近づけてその顔を睨みつけた。