最終回はナシの方向で
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名前は軽い音を立ててパンの袋をやぶると、そこから少しだけ出した中身に大口を開けてかじりついた。
名前が今食べたのは、この学校の名物・揚げパンだ。
この揚げパンは名物なだけあって競争率が高く、名前がこれを手にするのは今日が初めてだった。
口に含んだ瞬間にとけだす砂糖の甘さ。サクサクに揚げられたパンの芳醇な香り。ひとくち食べればそれが口いっぱいに広がって、名前の顔に自然と笑みが浮かぶ。
「んん~、おーいしーい!」
感極まって言うと、そのパンを買ってきてくれた名前の彼氏、仙道彰が嬉しそうに顔をほころばせた。
「はは。そんなにおいしい?」
「うん! すっごーくおいしいよ! わたし、ずっと揚げパン食べてみたかったの! 買ってくれてありがとう、彰」
「どういたしまして。ほら名前、ほっぺに砂糖ついてる」
仙道は名前の頬に手を伸ばし、親指の腹でこするように砂糖を拭った。
自身の指についた砂糖を舌で舐めとって、仙道がにこりと笑う。
「うん、おいしい」
「……ありがと」
男なのに色気たっぷりな仙道のそのしぐさに、思わず名前の頬が朱に染まる。
と、それを見て、名前の隣りでお弁当を食べていた越野がうげろげろっと呟いた。
整った顔を嫌そうにしかめて、仙道を呆れたように睨み据える。
「おい、仙道。頼むからそういうのは二人っきりの時にやれよな。見てるこっちの身にもなれよ」
「じゃあ越野は今すぐここから立ち去ればいいよ。邪魔してるのはお前だろ」
仙道は背後にある屋上の扉を勢い良く指して言った。
学校の昼休み。名前と仙道と越野の三人は、仲良く屋上でお弁当を囲んでいた。
今は7月。照りつける日差しは強く、あまり屋上の利用者はいなかった。今日もここにはこの三人しかいない。
静かに睨み合う仙道と越野を横目に見ながら、名前は幸せそうな表情で残りのパンを口に頬張っていく。
「だいたいなんでお前が一緒にご飯食べてるわけ? ほんと邪魔。すっごい邪魔どっかいって」
「違うだろ、順番が逆だろ! 俺がのんびり屋上でメシを食おうとしてるところに、お前ら二人が来たんだろ! そんなに嫌ならお前らこそどっか行けよ!」
「やだよ。教室でなんか食べたらそれこそ名前とゆっくり食べれないだろ。ただでさえ部活で忙しくて名前となかなか一緒にいれないのに、そんなの耐えられない!」
「んなこと俺が知るかっ! とにかく、お前らが割り込んできたんだからこれ以上俺の視界を汚すな。さもないとこの前の遅刻が実は釣りが原因だったって、監督にバラすからな! わかったか!?」
きつく言い放つ越野に、仙道が拗ねたように下唇を突き出す。
「ちぇー。わかったよ。なんだよなんだよ越野のバカ。名前慰めてー」
言って仙道が名前に頭を差し出してきた。
名前は小さく笑うと、その頭を優しく撫でてやる。
「よしよし。宏明はひどい鬼ですね」
「名前ー!」
そのまま抱きついて甘えてくる仙道をあやしていると、越野がやれやれというように肩を竦めた。
呆れたような眼差しを仙道に向けて、同情するように名前に言う。
「お前も大変だよな、名前。こんなやつの彼女だなんてよ」
「え、そう? 幸せだよ?」
にっこり笑顔で答えると、越野がまた嫌そうに顔をしかめる。
「ああ、そうかよ。聞いた俺がバカだったぜ」
「あはは、越野はバカだね」
すかさず加勢する仙道に、越野が眉を吊り上げる。
「るせえ! もういいから早くメシ食えよ。昼休み終わるぞ?」
「あ、ほんとだ」
名前が今食べたのは、この学校の名物・揚げパンだ。
この揚げパンは名物なだけあって競争率が高く、名前がこれを手にするのは今日が初めてだった。
口に含んだ瞬間にとけだす砂糖の甘さ。サクサクに揚げられたパンの芳醇な香り。ひとくち食べればそれが口いっぱいに広がって、名前の顔に自然と笑みが浮かぶ。
「んん~、おーいしーい!」
感極まって言うと、そのパンを買ってきてくれた名前の彼氏、仙道彰が嬉しそうに顔をほころばせた。
「はは。そんなにおいしい?」
「うん! すっごーくおいしいよ! わたし、ずっと揚げパン食べてみたかったの! 買ってくれてありがとう、彰」
「どういたしまして。ほら名前、ほっぺに砂糖ついてる」
仙道は名前の頬に手を伸ばし、親指の腹でこするように砂糖を拭った。
自身の指についた砂糖を舌で舐めとって、仙道がにこりと笑う。
「うん、おいしい」
「……ありがと」
男なのに色気たっぷりな仙道のそのしぐさに、思わず名前の頬が朱に染まる。
と、それを見て、名前の隣りでお弁当を食べていた越野がうげろげろっと呟いた。
整った顔を嫌そうにしかめて、仙道を呆れたように睨み据える。
「おい、仙道。頼むからそういうのは二人っきりの時にやれよな。見てるこっちの身にもなれよ」
「じゃあ越野は今すぐここから立ち去ればいいよ。邪魔してるのはお前だろ」
仙道は背後にある屋上の扉を勢い良く指して言った。
学校の昼休み。名前と仙道と越野の三人は、仲良く屋上でお弁当を囲んでいた。
今は7月。照りつける日差しは強く、あまり屋上の利用者はいなかった。今日もここにはこの三人しかいない。
静かに睨み合う仙道と越野を横目に見ながら、名前は幸せそうな表情で残りのパンを口に頬張っていく。
「だいたいなんでお前が一緒にご飯食べてるわけ? ほんと邪魔。すっごい邪魔どっかいって」
「違うだろ、順番が逆だろ! 俺がのんびり屋上でメシを食おうとしてるところに、お前ら二人が来たんだろ! そんなに嫌ならお前らこそどっか行けよ!」
「やだよ。教室でなんか食べたらそれこそ名前とゆっくり食べれないだろ。ただでさえ部活で忙しくて名前となかなか一緒にいれないのに、そんなの耐えられない!」
「んなこと俺が知るかっ! とにかく、お前らが割り込んできたんだからこれ以上俺の視界を汚すな。さもないとこの前の遅刻が実は釣りが原因だったって、監督にバラすからな! わかったか!?」
きつく言い放つ越野に、仙道が拗ねたように下唇を突き出す。
「ちぇー。わかったよ。なんだよなんだよ越野のバカ。名前慰めてー」
言って仙道が名前に頭を差し出してきた。
名前は小さく笑うと、その頭を優しく撫でてやる。
「よしよし。宏明はひどい鬼ですね」
「名前ー!」
そのまま抱きついて甘えてくる仙道をあやしていると、越野がやれやれというように肩を竦めた。
呆れたような眼差しを仙道に向けて、同情するように名前に言う。
「お前も大変だよな、名前。こんなやつの彼女だなんてよ」
「え、そう? 幸せだよ?」
にっこり笑顔で答えると、越野がまた嫌そうに顔をしかめる。
「ああ、そうかよ。聞いた俺がバカだったぜ」
「あはは、越野はバカだね」
すかさず加勢する仙道に、越野が眉を吊り上げる。
「るせえ! もういいから早くメシ食えよ。昼休み終わるぞ?」
「あ、ほんとだ」
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