海に行くのに
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これが実の姉の言葉だなんて信じられない。自分にだってイケメンの彼氏がいるくせに。
名前は凪子から仙道を庇うように両手を広げて立ちはだかると、姉を上目遣いににらみつけた。
「おねーちゃん、彰に色目使わないでよっ! 一体何しに来たのっ」
「あら、失礼な子ね。あんたがさっき体重計に乗って騒いでたから、いいこと教えに来てやったんじゃないのよ」
「いいこと?」
「そうよ。あんたがさっき乗った体重計だけど、あれ、プラス五キロで設定してあるのよ」
「ぷ、プラス五キロォ!?」
「そうよ」
目を白黒させる名前に、凪子が罪の無い笑顔でにっこり微笑んだ。
「ほら、やっぱり夏に向けてダイエットしなくちゃいけないじゃない? だから自分に発破をかけようと思って、設定をプラス五キロにしておいたの。だから何キロに表示されたのか知らないけど、あんたのほんとうの体重は表示マイナス五キロだから安心なさい」
「あ、安心なさいって……。わ、わたしがどれだけびっくりしたと思って……!」
「だぁから、今教えに来てやったんじゃない」
「あのねえ、それってそもそもおねーちゃんが使ったあとに毎回ちゃんと設定を戻しておけば済む話でしょーが!!」
「やぁよそんなのめんどくさい。これからあんたがプラス五キロだと思って乗ればいいのよ」
「んな自分勝手な!」
「ほほほ、我が家は長女を軸に廻ってるのよ! 悔しかったらわたしより後にあんたを産んだ両親を恨むことね。おーほほほほほ」
凪子は妙な高笑いをした後、じゃあね彰くん、と仙道にかわいくウインクを残して、家へと入っていった。
名前はそれを見送って、がっくりと地面に膝を着く。
(し、信じられない……お姉ちゃんのやつぅ!)
あんなのと同じ血がこの体に流れているなんて、考えるだけでゾッとする。
だいたい、世の中って普通は下の子が得をするように出来てるんじゃなかったろうか。
それが家に限っては長女を軸にだなんて、なんて自分に優しくない世の中だ。
(だいたいプラス五キロって……! 水増ししすぎだろ……!)
心の中でケッと毒づいていると、ふいに頭にあたたかい手が触れた。
顔をあげると、仙道がやわらかく微笑んで名前を見ていた。
名前はその笑顔に胸をどきどきいわせながら、仙道が差し出してきた手を掴んで立ち上がった。
砂がついた膝を、仙道が大きな手で優しく払ってくれる。
「あ、ありがと」
「ん。どういたしまして」
穏やかに微笑む仙道に、名前の胸がきゅんと締め付けられたようになる。
頬に熱が集まって仙道の顔が見れないでいると、再び頭に仙道のぬくもりを感じた。
「それにしてもよかったね、名前」
「え?」
「プラス五キロの設定ってことは、つまり名前は三キロ痩せてたってことでしょ?」
「あ、そうか!」
仙道の言葉に名前はぽんと手を打った。
体重計が五キロ多く表示されていたのだから、そこからプラスになっていた二キロをマイナスして、残りは三キロ。名前は太ったどころか、きっちりダイエットに成功していた。
(やっぱり、死ぬ思いでチャレンジ ザ トリプルを我慢した甲斐があったのよ!)
名前はうおおっとガッツポーズを取った。
名前のあまりの喜びように後ろで笑い声を上げる仙道を振り返る。
「彰っ! これで明日海行けるね!」
「はは。うん、そうだね」
「海行ったらいっぱい食べよう! やきそばにカキ氷にフランクフルト! あ、あとあと売ってたらスイカも!」
「いいけど、さすがにそれは食べすぎじゃない?」
「いいの。三キロもダイエットに成功してたんだもん! ちょっとくらい食べたってバチは当たらないはず」
名前は凪子から仙道を庇うように両手を広げて立ちはだかると、姉を上目遣いににらみつけた。
「おねーちゃん、彰に色目使わないでよっ! 一体何しに来たのっ」
「あら、失礼な子ね。あんたがさっき体重計に乗って騒いでたから、いいこと教えに来てやったんじゃないのよ」
「いいこと?」
「そうよ。あんたがさっき乗った体重計だけど、あれ、プラス五キロで設定してあるのよ」
「ぷ、プラス五キロォ!?」
「そうよ」
目を白黒させる名前に、凪子が罪の無い笑顔でにっこり微笑んだ。
「ほら、やっぱり夏に向けてダイエットしなくちゃいけないじゃない? だから自分に発破をかけようと思って、設定をプラス五キロにしておいたの。だから何キロに表示されたのか知らないけど、あんたのほんとうの体重は表示マイナス五キロだから安心なさい」
「あ、安心なさいって……。わ、わたしがどれだけびっくりしたと思って……!」
「だぁから、今教えに来てやったんじゃない」
「あのねえ、それってそもそもおねーちゃんが使ったあとに毎回ちゃんと設定を戻しておけば済む話でしょーが!!」
「やぁよそんなのめんどくさい。これからあんたがプラス五キロだと思って乗ればいいのよ」
「んな自分勝手な!」
「ほほほ、我が家は長女を軸に廻ってるのよ! 悔しかったらわたしより後にあんたを産んだ両親を恨むことね。おーほほほほほ」
凪子は妙な高笑いをした後、じゃあね彰くん、と仙道にかわいくウインクを残して、家へと入っていった。
名前はそれを見送って、がっくりと地面に膝を着く。
(し、信じられない……お姉ちゃんのやつぅ!)
あんなのと同じ血がこの体に流れているなんて、考えるだけでゾッとする。
だいたい、世の中って普通は下の子が得をするように出来てるんじゃなかったろうか。
それが家に限っては長女を軸にだなんて、なんて自分に優しくない世の中だ。
(だいたいプラス五キロって……! 水増ししすぎだろ……!)
心の中でケッと毒づいていると、ふいに頭にあたたかい手が触れた。
顔をあげると、仙道がやわらかく微笑んで名前を見ていた。
名前はその笑顔に胸をどきどきいわせながら、仙道が差し出してきた手を掴んで立ち上がった。
砂がついた膝を、仙道が大きな手で優しく払ってくれる。
「あ、ありがと」
「ん。どういたしまして」
穏やかに微笑む仙道に、名前の胸がきゅんと締め付けられたようになる。
頬に熱が集まって仙道の顔が見れないでいると、再び頭に仙道のぬくもりを感じた。
「それにしてもよかったね、名前」
「え?」
「プラス五キロの設定ってことは、つまり名前は三キロ痩せてたってことでしょ?」
「あ、そうか!」
仙道の言葉に名前はぽんと手を打った。
体重計が五キロ多く表示されていたのだから、そこからプラスになっていた二キロをマイナスして、残りは三キロ。名前は太ったどころか、きっちりダイエットに成功していた。
(やっぱり、死ぬ思いでチャレンジ ザ トリプルを我慢した甲斐があったのよ!)
名前はうおおっとガッツポーズを取った。
名前のあまりの喜びように後ろで笑い声を上げる仙道を振り返る。
「彰っ! これで明日海行けるね!」
「はは。うん、そうだね」
「海行ったらいっぱい食べよう! やきそばにカキ氷にフランクフルト! あ、あとあと売ってたらスイカも!」
「いいけど、さすがにそれは食べすぎじゃない?」
「いいの。三キロもダイエットに成功してたんだもん! ちょっとくらい食べたってバチは当たらないはず」