海に行くのに
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「うーん、ほんとうだったらこのまま名前を思いっきり抱きしめてお風呂上りのいい匂いを堪能したいんだけどなあ」
「ちょ、えっち! 本当にしたら殴るからねっ」
「しないよ。名前ん家の前だし、万が一親父さんに見られたら俺殺されちゃうもん」
ああ残念と言いながら、仙道は一房掴んでいた名前の髪で三つ編みを作り始めた。
なかなかうまくいかないのか、眉を寄せながら大きくてごつごつした手を動かしている仙道がひどく愛らしくて、名前も思わず笑顔になる。
「ふふ。へたっぴ」
「三つ編みって結構難しいね」
「うーん、そうかな? わたしはもう慣れちゃったけど」
「女の子ってすごいなあ」
「彰だったら、コツを掴めばすぐだよ。器用だもんね」
「じゃあ、覚えて今度名前の髪を結ばせてもらおう」
「別にいいけど、ちゃんとかわいくしてね?」
「まかせて!」
仙道がどんと胸を叩いた。
それに微笑んでいると、ふいに仙道の手が名前のおなかに触れた。
名前は驚いて仙道から素早く飛び退く。
「えっち! なにすんのよ彰!」
「んー? だって二キロ太ったっていうから。……でも、あんまり変わってないんじゃない? それどころか、ちょっと細くなった気がするけど」
「うう、へたななぐさめはよしてよ。だって体重計の表示がはっきり二キロ増えてたもん」
「ええー。そうかなー? たしかに前より細いような気がするんだけど……」
そう言ってもう一度伸びてきた仙道の手を名前はぴしゃりと叩いた。
いったーと叩かれた手を振る仙道に、腕を組んでふんと荒く鼻息を吐いてみせる。
「そう何度も触らせるもんですか。――だっ、だいたい、わたしたち、ま、まだなのに、触っただけでわかるわけないでしょっ」
「でも後ろから抱きしめるときってお腹に手がいったりするしさ。その記憶と照らし合わせると、前よりもお腹の柔らかさが……」
「みなまで言わんでよろしいっ!」
名前は今度は仙道のお腹にパンチを繰り出した。
仙道はそれを軽く右手で受け止めると、意地悪く微笑む。
「ふふふ。まだまだだね」
「……かわいくないなあ、もう」
「はは」
仙道は小さく笑うと、ふと瞳に真剣な光を宿らせて名前を見つめた。
「……ね、名前。ほんとうに太ったのなんて気にしないからさ、俺と海行こうよ」
「…………」
仙道の言葉に名前は考えるように沈黙した。
先ほど仙道に触れられたお腹をまじまじと見つめ、親指と人差し指でそこの肉を摘んでみる。
確かに仙道の言うとおり、増えたというよりは減った気がする。
でも体重計の表示は確かに二キロ増えていたのだから、太ったことに間違いはないはずだ。
(うーん、なんで?)
名前が首を捻ったそのときだった。
名前の家の玄関がふいに開いて、凪子がそこから顔を出した。
「あ、いたいた」
「おねーちゃん!?」
凪子は家の前の道路にいた名前を認めると、こちらに歩いてきた。
後ろに立つ仙道が、凪子に頭を下げる。
「こんばんは、凪子さん。遅くに名前さんを連れ出してすみません」
「あらァ。こんばんは、彰くん。いいのよォ、うちの名前なんてどうせ痴漢にも狙われっこないんだから」
「お、おねーちゃん……っ!」
それにしても彰くん相変わらずいい男ねェなんて言いながら、すっかり目をハートに染めて失礼な事を言う凪子に、名前は肩を震わせた。
「ちょ、えっち! 本当にしたら殴るからねっ」
「しないよ。名前ん家の前だし、万が一親父さんに見られたら俺殺されちゃうもん」
ああ残念と言いながら、仙道は一房掴んでいた名前の髪で三つ編みを作り始めた。
なかなかうまくいかないのか、眉を寄せながら大きくてごつごつした手を動かしている仙道がひどく愛らしくて、名前も思わず笑顔になる。
「ふふ。へたっぴ」
「三つ編みって結構難しいね」
「うーん、そうかな? わたしはもう慣れちゃったけど」
「女の子ってすごいなあ」
「彰だったら、コツを掴めばすぐだよ。器用だもんね」
「じゃあ、覚えて今度名前の髪を結ばせてもらおう」
「別にいいけど、ちゃんとかわいくしてね?」
「まかせて!」
仙道がどんと胸を叩いた。
それに微笑んでいると、ふいに仙道の手が名前のおなかに触れた。
名前は驚いて仙道から素早く飛び退く。
「えっち! なにすんのよ彰!」
「んー? だって二キロ太ったっていうから。……でも、あんまり変わってないんじゃない? それどころか、ちょっと細くなった気がするけど」
「うう、へたななぐさめはよしてよ。だって体重計の表示がはっきり二キロ増えてたもん」
「ええー。そうかなー? たしかに前より細いような気がするんだけど……」
そう言ってもう一度伸びてきた仙道の手を名前はぴしゃりと叩いた。
いったーと叩かれた手を振る仙道に、腕を組んでふんと荒く鼻息を吐いてみせる。
「そう何度も触らせるもんですか。――だっ、だいたい、わたしたち、ま、まだなのに、触っただけでわかるわけないでしょっ」
「でも後ろから抱きしめるときってお腹に手がいったりするしさ。その記憶と照らし合わせると、前よりもお腹の柔らかさが……」
「みなまで言わんでよろしいっ!」
名前は今度は仙道のお腹にパンチを繰り出した。
仙道はそれを軽く右手で受け止めると、意地悪く微笑む。
「ふふふ。まだまだだね」
「……かわいくないなあ、もう」
「はは」
仙道は小さく笑うと、ふと瞳に真剣な光を宿らせて名前を見つめた。
「……ね、名前。ほんとうに太ったのなんて気にしないからさ、俺と海行こうよ」
「…………」
仙道の言葉に名前は考えるように沈黙した。
先ほど仙道に触れられたお腹をまじまじと見つめ、親指と人差し指でそこの肉を摘んでみる。
確かに仙道の言うとおり、増えたというよりは減った気がする。
でも体重計の表示は確かに二キロ増えていたのだから、太ったことに間違いはないはずだ。
(うーん、なんで?)
名前が首を捻ったそのときだった。
名前の家の玄関がふいに開いて、凪子がそこから顔を出した。
「あ、いたいた」
「おねーちゃん!?」
凪子は家の前の道路にいた名前を認めると、こちらに歩いてきた。
後ろに立つ仙道が、凪子に頭を下げる。
「こんばんは、凪子さん。遅くに名前さんを連れ出してすみません」
「あらァ。こんばんは、彰くん。いいのよォ、うちの名前なんてどうせ痴漢にも狙われっこないんだから」
「お、おねーちゃん……っ!」
それにしても彰くん相変わらずいい男ねェなんて言いながら、すっかり目をハートに染めて失礼な事を言う凪子に、名前は肩を震わせた。