彼女の条件
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よかった。ほんとうによかった。
思うと次から次へと涙が溢れ出してきて止まらなかった。
「そういうことだ、名前。わかっただろ? 俺は大丈夫だから、もう泣かなくていいんだぞ?」
「…………」
優しく頭を撫でる牧のぬくもりを感じながら、名前は無言で首を横に振った。
頭の中に今まで牧と過ごした楽しかった思い出が次々とよぎる。
こんなときにまで自分は牧に気を使わせて、なんて情けないんだろう。
全部全部信長の言うとおりだった。
牧が自分を好きでいてくれるならそれでいいと、傲慢にも思っていた自分が浅はかだった。
だって自分のせいで、牧は危うく大会に出れなくなるところだった。
やっぱり自分は牧にはふさわしくない。
ふさわしくないどころか、これじゃあただの疫病神だ。
名前は決意を固めて口を開く。
「ま、牧先輩。ケガ、ごめんなさい……!」
「ん? これはお前のせいじゃないだろ。むしろ小菅のありえないパスミスが……」
ぶんぶんと大きく首を振る名前に、牧も言葉を止めた。
訝しげに名前を見やる。
「名前?」
「わ、わたし……マネージャー辞めます!」
「――はぁ!?」
脈絡のない名前の言葉に牧が素っ頓狂な声を上げた。
「ま、牧先輩とも別れます……っ」
「な、おい、名前?」
思いつめたようにそう口にする名前の肩に、牧が手を置いた。
名前はそれを振り払うように、勢いよくからだを折り曲げる。
「今までお世話になりました……!」
「あ、おい!」
名前はそれだけ言うと風のような速さでそこから駆け出した。
「…………」
牧はしばらく呆気に取られて名前の去った方角を見つめていた。
ハッと我に返ると、牧は自分の傍らに立つ信長の首根っこをおもむろに掴んだ。
驚いて信長が首をすくめる。
「ぎゃっ! なな、なんすか牧さん!」
「で? これはいったいどういうことなんだ、清田?」
「ギャー、なんでオレなんスか! オレは何もしてないっスよ!」
信長が顔を青くさせて足をバタバタさせながら無実を訴えた。
牧はそれを明らかに信じていない目つきで眺めやると、信長の瞳の奥を覗き込む。
信長ののど仏が緊張にごくりとつばを飲み込むように上下した。
「ほおう? じゃあ俺の目を見て言えるか、清田」
「!!」
こきんと信長が固まった。
牧は表情を険しくさせて、もう一度信長に問いかける。
「俺の目を見て言えるか?」
「…………すっ、すみませんでしたぁあああ!」
文字通り信長がジャンピング土下座をして牧の前にひれ伏した。
牧はいかにも帝王らしくそれに冷めた一瞥を投げかけると、心臓が凍りつくほど冷たい声音で信長に訊いた。
「で? どういうことなんだ?」
思うと次から次へと涙が溢れ出してきて止まらなかった。
「そういうことだ、名前。わかっただろ? 俺は大丈夫だから、もう泣かなくていいんだぞ?」
「…………」
優しく頭を撫でる牧のぬくもりを感じながら、名前は無言で首を横に振った。
頭の中に今まで牧と過ごした楽しかった思い出が次々とよぎる。
こんなときにまで自分は牧に気を使わせて、なんて情けないんだろう。
全部全部信長の言うとおりだった。
牧が自分を好きでいてくれるならそれでいいと、傲慢にも思っていた自分が浅はかだった。
だって自分のせいで、牧は危うく大会に出れなくなるところだった。
やっぱり自分は牧にはふさわしくない。
ふさわしくないどころか、これじゃあただの疫病神だ。
名前は決意を固めて口を開く。
「ま、牧先輩。ケガ、ごめんなさい……!」
「ん? これはお前のせいじゃないだろ。むしろ小菅のありえないパスミスが……」
ぶんぶんと大きく首を振る名前に、牧も言葉を止めた。
訝しげに名前を見やる。
「名前?」
「わ、わたし……マネージャー辞めます!」
「――はぁ!?」
脈絡のない名前の言葉に牧が素っ頓狂な声を上げた。
「ま、牧先輩とも別れます……っ」
「な、おい、名前?」
思いつめたようにそう口にする名前の肩に、牧が手を置いた。
名前はそれを振り払うように、勢いよくからだを折り曲げる。
「今までお世話になりました……!」
「あ、おい!」
名前はそれだけ言うと風のような速さでそこから駆け出した。
「…………」
牧はしばらく呆気に取られて名前の去った方角を見つめていた。
ハッと我に返ると、牧は自分の傍らに立つ信長の首根っこをおもむろに掴んだ。
驚いて信長が首をすくめる。
「ぎゃっ! なな、なんすか牧さん!」
「で? これはいったいどういうことなんだ、清田?」
「ギャー、なんでオレなんスか! オレは何もしてないっスよ!」
信長が顔を青くさせて足をバタバタさせながら無実を訴えた。
牧はそれを明らかに信じていない目つきで眺めやると、信長の瞳の奥を覗き込む。
信長ののど仏が緊張にごくりとつばを飲み込むように上下した。
「ほおう? じゃあ俺の目を見て言えるか、清田」
「!!」
こきんと信長が固まった。
牧は表情を険しくさせて、もう一度信長に問いかける。
「俺の目を見て言えるか?」
「…………すっ、すみませんでしたぁあああ!」
文字通り信長がジャンピング土下座をして牧の前にひれ伏した。
牧はいかにも帝王らしくそれに冷めた一瞥を投げかけると、心臓が凍りつくほど冷たい声音で信長に訊いた。
「で? どういうことなんだ?」