彼女の条件
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「あ、でも牧先輩部活で疲れてるでしょうし……」
「そんなこと気にするな。だいたい、疲れてるのにお前を誘うほど俺はお人よしじゃないぞ? わかったらどこに寄りたいか考えとけ」
「……はいっ!」
「じゃあ俺は練習に戻るからな」
最後にわしわしと名前の頭を撫でると、牧は練習へと戻っていく。
(やっぱり好きだなぁ……)
名前は牧のぬくもりを追いかけるように、先ほど牧が撫でてくれた頭を触った。
優しくて、面倒見がよくて、みんなの頼れる存在で。
信長の言うとおり牧に自分はふさわしくなんてないけれど。
(でも大好きなんだから仕方ないもん)
今度こそそう開き直って、体育倉庫にビブスをしまいに行こうとしたそのとき。
「あぶないっ!」
ふいに物凄い勢いでそんな言葉が名前の耳に飛び込んできた。
「え?」
驚いて振り返る名前の目に飛び込んでくる、電子得点板。
こっちに向かって倒れてくる。
「!!」
(避けられない!)
「名前!!」
そう思って咄嗟にきつく目をつぶり頭を庇ってうずくまる名前に、何かが覆いかぶさってきた。
ガツンとすごい音が衝撃とともにからだに伝わってくる。
が、覚悟していた痛みは一向に襲っては来ない。
「……?」
名前は恐る恐る目を開ける。
そこには。
「牧先輩っ!」
「大丈夫か、名前」
自分を庇って電子得点板を肩で受け止めている牧の姿があった。
その表情は苦痛に歪んでいる。
「牧っ!」
部員のひとりの小菅が慌てた様子で駆け寄ってきた。
どうやら小菅がパス練習の際に思いっきり手元を狂わせて、電子得点板にボールをぶつけてしまったらしい。
事態に驚いて部員たちも続々と集まってくる。
牧は得点板を元に戻すと、こきこきと首を鳴らしながら片眉を吊り上げて小菅を見やる。
「おい小菅。どうやったらあそこからこっち側にボールが飛んで来るんだ?」
「す、すまん牧……! 手が滑って……。それより肩、大丈夫か?」
「ああ。まさか名前を狙ったわけじゃないよな」
「まさか! そんなわけないだろ!?」
慌てふためく小菅に、意地悪く牧が口の端を持ち上げる。
「冗談だ。もういいから練習戻れ。試合ではこんなミスするなよ」
「あ、ああ。名前ちゃんも怖い思いさせてごめんな?」
「あ、はい」
小菅はそれだけ言い残して再び練習に戻っていった。
部員たちもホッとしたようにまた練習へと散っていく。
しかし牧は患部を押さえてそこを動こうとしない。
「牧さん、大丈夫ですか? どこ打ちました?」
「そんなこと気にするな。だいたい、疲れてるのにお前を誘うほど俺はお人よしじゃないぞ? わかったらどこに寄りたいか考えとけ」
「……はいっ!」
「じゃあ俺は練習に戻るからな」
最後にわしわしと名前の頭を撫でると、牧は練習へと戻っていく。
(やっぱり好きだなぁ……)
名前は牧のぬくもりを追いかけるように、先ほど牧が撫でてくれた頭を触った。
優しくて、面倒見がよくて、みんなの頼れる存在で。
信長の言うとおり牧に自分はふさわしくなんてないけれど。
(でも大好きなんだから仕方ないもん)
今度こそそう開き直って、体育倉庫にビブスをしまいに行こうとしたそのとき。
「あぶないっ!」
ふいに物凄い勢いでそんな言葉が名前の耳に飛び込んできた。
「え?」
驚いて振り返る名前の目に飛び込んでくる、電子得点板。
こっちに向かって倒れてくる。
「!!」
(避けられない!)
「名前!!」
そう思って咄嗟にきつく目をつぶり頭を庇ってうずくまる名前に、何かが覆いかぶさってきた。
ガツンとすごい音が衝撃とともにからだに伝わってくる。
が、覚悟していた痛みは一向に襲っては来ない。
「……?」
名前は恐る恐る目を開ける。
そこには。
「牧先輩っ!」
「大丈夫か、名前」
自分を庇って電子得点板を肩で受け止めている牧の姿があった。
その表情は苦痛に歪んでいる。
「牧っ!」
部員のひとりの小菅が慌てた様子で駆け寄ってきた。
どうやら小菅がパス練習の際に思いっきり手元を狂わせて、電子得点板にボールをぶつけてしまったらしい。
事態に驚いて部員たちも続々と集まってくる。
牧は得点板を元に戻すと、こきこきと首を鳴らしながら片眉を吊り上げて小菅を見やる。
「おい小菅。どうやったらあそこからこっち側にボールが飛んで来るんだ?」
「す、すまん牧……! 手が滑って……。それより肩、大丈夫か?」
「ああ。まさか名前を狙ったわけじゃないよな」
「まさか! そんなわけないだろ!?」
慌てふためく小菅に、意地悪く牧が口の端を持ち上げる。
「冗談だ。もういいから練習戻れ。試合ではこんなミスするなよ」
「あ、ああ。名前ちゃんも怖い思いさせてごめんな?」
「あ、はい」
小菅はそれだけ言い残して再び練習に戻っていった。
部員たちもホッとしたようにまた練習へと散っていく。
しかし牧は患部を押さえてそこを動こうとしない。
「牧さん、大丈夫ですか? どこ打ちました?」