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海南大附属高校男子バスケットボール部。
今日もその専用体育館は、活気のいい声で溢れ返っていた。
「牧先輩、はいドリンクです」
「おう。ありがとう、名前」
「はい!」
名前は彼氏でもあるバスケ部キャプテン、牧紳一にドリンクを手渡すと、嬉しそうに微笑んだ。
ドリンクを飲み終えた牧はもう一度お礼を言って名前にそれを返すと、颯爽と練習へと戻っていく。
名前はその姿を目で追った。
時に厳しく、時に優しく部員に指示を飛ばす牧は本当にかっこいい。
「はあ、牧先輩素敵……!」
思わず見とれて呟くと、急に頭に衝撃を感じた。
いたーとそこを手で押さえながら衝撃の送り主を確認すると、そこには同い年で同じクラスの清田信長がいた。
思わず名前はウッと喉を詰まらせる。
清田信長。実は名前は信長が苦手だった。
最初は仲が良かったのだけれど、名前が牧と付き合いだしてから、信長が急になにかとつっかかってくるようになった。
いわく、『牧さんと釣りあわない』、『牧さんの足手まとい』、『分をわきまえろ』。
それは常々名前自身が感じていることでもあったので、毎回そこをえぐってくる信長の言葉は正直耳が痛かった。
あからさまに顔を背ける名前の態度に、信長が不機嫌そうに顔をしかめて口を開く。
「マジメにやれよ、マネージャー!」
「やってますよーっだ」
「ウソつけ! 今、牧先輩素敵、とかいってたじゃねえか」
わざとらしく声真似して言ってくる信長に、名前も唇を尖らせる。
「なによ。自分の彼氏にちょっと見とれるくらいいいじゃない」
「だから、そもそもそこが間違ってるんだよ。なんでお前が牧さんの彼女なんだよ、今すぐ別れろよ!」
「いーやーでーすっ! なんでそんなことノブなんかに言われなきゃいけないの!」
「だーかーら! お前と牧さんじゃ釣り合いがとれてないっつーの! 牧さんにはもっと大人で素敵な女性がお似合いだっ! 間違ってもお前みたいなドンじゃねえ!」
「ドン……っ!? わたしドンじゃないもん!」
「ドンだろうが! トロくて鈍くてどうしようもないだろっ!」
「~~~~ひどいっ!」
確かに名前はちょっと、いやかなり人より鈍い。
でも何もそこまで言わなくてもいいじゃないか。
信長の言葉が名前の胸にぐさぐさと突き刺さる。
名前が思わず涙ぐんだそのときだった。
「こーら。ノブ、なに名前ちゃんを泣かせてるの」
練習を中断して、神宗一郎がこちらへやって来た。
信長の頭にこつんと優しくゲンコツを落とす。
「神先輩!」
「神さん!」
「お前、牧さんに名前ちゃん取られて悔しいのもわかるけど、いい加減にしとかないと牧さんに言いつけるぞ」
「なっ! 違うッスよ! オレはただそんなんじゃなくて、純粋に牧さんとこいつが似合わないって思って……!」
「ふうん。まあどっちだっていいけど、あんまり名前ちゃんいじめるなよ?」
「でも神さん……!」
不服そうに言い募る信長をよそに、神はくるりと名前に向き直るとにこりと穏やかに微笑んだ。
「名前ちゃん、こんなバカなやつの言うことなんて気にしなくていいよ。……俺にもドリンクくれる?」
「あ、はい、どうぞ!」
「ありがとう」
信長にひどいことを言われた後で余計に神の優しさが身に染みて、名前は目を潤ませた。
今日もその専用体育館は、活気のいい声で溢れ返っていた。
「牧先輩、はいドリンクです」
「おう。ありがとう、名前」
「はい!」
名前は彼氏でもあるバスケ部キャプテン、牧紳一にドリンクを手渡すと、嬉しそうに微笑んだ。
ドリンクを飲み終えた牧はもう一度お礼を言って名前にそれを返すと、颯爽と練習へと戻っていく。
名前はその姿を目で追った。
時に厳しく、時に優しく部員に指示を飛ばす牧は本当にかっこいい。
「はあ、牧先輩素敵……!」
思わず見とれて呟くと、急に頭に衝撃を感じた。
いたーとそこを手で押さえながら衝撃の送り主を確認すると、そこには同い年で同じクラスの清田信長がいた。
思わず名前はウッと喉を詰まらせる。
清田信長。実は名前は信長が苦手だった。
最初は仲が良かったのだけれど、名前が牧と付き合いだしてから、信長が急になにかとつっかかってくるようになった。
いわく、『牧さんと釣りあわない』、『牧さんの足手まとい』、『分をわきまえろ』。
それは常々名前自身が感じていることでもあったので、毎回そこをえぐってくる信長の言葉は正直耳が痛かった。
あからさまに顔を背ける名前の態度に、信長が不機嫌そうに顔をしかめて口を開く。
「マジメにやれよ、マネージャー!」
「やってますよーっだ」
「ウソつけ! 今、牧先輩素敵、とかいってたじゃねえか」
わざとらしく声真似して言ってくる信長に、名前も唇を尖らせる。
「なによ。自分の彼氏にちょっと見とれるくらいいいじゃない」
「だから、そもそもそこが間違ってるんだよ。なんでお前が牧さんの彼女なんだよ、今すぐ別れろよ!」
「いーやーでーすっ! なんでそんなことノブなんかに言われなきゃいけないの!」
「だーかーら! お前と牧さんじゃ釣り合いがとれてないっつーの! 牧さんにはもっと大人で素敵な女性がお似合いだっ! 間違ってもお前みたいなドンじゃねえ!」
「ドン……っ!? わたしドンじゃないもん!」
「ドンだろうが! トロくて鈍くてどうしようもないだろっ!」
「~~~~ひどいっ!」
確かに名前はちょっと、いやかなり人より鈍い。
でも何もそこまで言わなくてもいいじゃないか。
信長の言葉が名前の胸にぐさぐさと突き刺さる。
名前が思わず涙ぐんだそのときだった。
「こーら。ノブ、なに名前ちゃんを泣かせてるの」
練習を中断して、神宗一郎がこちらへやって来た。
信長の頭にこつんと優しくゲンコツを落とす。
「神先輩!」
「神さん!」
「お前、牧さんに名前ちゃん取られて悔しいのもわかるけど、いい加減にしとかないと牧さんに言いつけるぞ」
「なっ! 違うッスよ! オレはただそんなんじゃなくて、純粋に牧さんとこいつが似合わないって思って……!」
「ふうん。まあどっちだっていいけど、あんまり名前ちゃんいじめるなよ?」
「でも神さん……!」
不服そうに言い募る信長をよそに、神はくるりと名前に向き直るとにこりと穏やかに微笑んだ。
「名前ちゃん、こんなバカなやつの言うことなんて気にしなくていいよ。……俺にもドリンクくれる?」
「あ、はい、どうぞ!」
「ありがとう」
信長にひどいことを言われた後で余計に神の優しさが身に染みて、名前は目を潤ませた。
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