3限目。体育の授業を受けるために私たちは体育館へと集まっていた。

「それじゃあ、みんな適当にペア組め〜」

先生がそう言うと、みんなが一斉に動き出した。

私はいつもペアを組んでいる梓を探す。

（あー、いたいた）

私は彼女の元へと駆け寄った。

「梓っ！」

「あっ…、夢香…」

彼女はなんだか元気がない様子だった。

「……？」

すると、彼女の肩に肘をかけながら突然前田が割り込んできた。

「梓はさ、私と組むから」

「えっ…？」

（仲が良いわけでもないのに、急になんで…）

状況が理解できずに固まっていると、

「…ごめん」

梓が申し訳なさそうに言った。

「ま、そういうことだからほか当たってよ。…あーほら、あいつとかちょうど良いんじゃない？余り物同士で」

前田は顎で西くんを指しながらニヤッと笑って言った。

西くんもまだペアが決まってないらしく、ぽつりと立っている。

「……ッ！」

（余り物って…何その言い方）

なんだかイラッとして、私は彼女をキッと睨むと

くるりと背を向けて歩き出した。

「睨まれたんだけど…こわーッ」

彼女が、馬鹿にしたように笑いながら言っている声が聞こえてくる。