「あれ…っ」

次の日、学校に登校した私は、ある異変に気がついた。

（靴が…ない。）

私の靴箱に、上履きが入っていない。

（まさか…）

頭の中に、嫌な予感がよぎる。

私がその場にしばらく立ち尽くしていると、突然後ろから声がかかった。

「…何してンの」

振り返ると、そこには西くんが立っていた。

「あっ…西くん！…おはよ！」

咄嗟に自分の靴箱を背中で隠す。

「……」

西くんはそのまま自分の靴箱の前まで行き、靴を脱ぐと鞄の中から上履きを取り出した。

「…上履き、持って帰ってるの？」

「あぁ…置いて帰るとクソ野郎共に隠されるからな」

その言葉を聞き、心臓がドキッとした。

やっぱり…これって

「お前、履き替えないの？邪魔なんだけど」

「あっ！ごめんごめん…どうぞ先行って〜」

私はわざと笑顔を作ると、体を小さくして右手でどうぞとジェスチャーしてみせる

「……？」

西くんは少し不審そうに見ながらも私の横を通り過ぎると、教室へと向かっていった。

（はぁ…どうしよう）

その後しばらく探したが結局上履きは見つからず…

諦めて来客用のスリッパを履くと教室へと向かった。