「いやっ！！離して…！！誰か、助けて…ッ！！」

さっきまでボーッとしていた女の子は、腕を掴まれるとハッとして、必死に抵抗しはじめる。

が、誰も彼女を助けに行く様子はない。

（誰も…助けないの？）

しばらくしても誰も動こうとはしなかった。

西くんはもちろん、ロクさんまで俯いてそちらを見ないようにしている。

女の子の抵抗も虚しく、あと少しでこの部屋から出てしまうところまで連れて行かれていた。

(誰か…誰か助けないと…)

それでも、誰も助ける様子がなかった。
…力になれるか分からないが、私が行くしかない。

私は一度深く深呼吸をすると、西くんの背中から飛び出した。

「あの…やめてあげて下さい」

「あ゛…？」

3人の男が一斉にこちらを見た。恐怖で足がすくむ。

「ここはあの世でも何でもないですし…今はそんなことしてる場合じゃないんです」

震える声に気づかれないように、拳を握り全身に力を込めて声を絞り出した。

「何言ってんのこの子…」

「てかあれ…っ？こいつ、こないだの…」

金髪のすぐ右に立っていた男が私を指さす。

「あー…ほんとだ」

金髪の男はあまり驚かずにそう言った。

「ほんとだ！！あれ…でもこいつ死んだはずじゃ…」

「てことはマジでここ、あの世なんじゃね…？？」　

「ゲーッ…まじ？？」

金髪の男以外の2人が騒ぎ出す。

金髪の男はしばらく無言でこちらを見つめた後、ニヤリと笑うと

「しょうがないな〜…君も一緒に遊んであげるよ」

と言った。