「…何してンだよ」

西くんは軽くこちらを振り返って睨みつけてくる。

「私…あの人たちに殺されたの…」

私は彼らに見つからないように、西くんの背中に隠れたまま小声で答えた。

「……ハァ？」

「……」

西くんは一瞬顔をしかめたが、前を向いて少しだけ私を隠すように立ってくれた。

「…ありがと」

小声でお礼を言うと、彼はチッと舌打ちをした。
小さくて猫背な彼の背中が、何だか今は大きく感じる。

あの日の男たちは

「あ゛？なんだここ…」

「あれ〜？さっきまで車乗ってたよな…」

「そうそう、てか事故ったよな俺ら…何これ生きてんの？」

などと話している。

「あの世ってことか？」

「ま、あの世でも何でもいいや…続きしよーぜー」

そう言うと金髪の男が立ち上がり、
座っている女の子の腕を掴んで玄関のほうへ連れて行こうとし始めた。