（あれ…いけた？)

「はぁ…はぁ…」

まだ心臓がバクバク言っていて、息が上がっている。

すると、トッと軽く音を立てて西くんが隣に着地した。肩にはそれぞれ私の鞄と自分の鞄をかけている。

「な、飛べたろ」

「これが…スーツの力？」

「そう…他にも、こういう事もできるぜ」

そう言うと彼は私の腕を掴み、力を込める。
ミシミシっと音を立てると私の腕に激痛が走った。

「いっ…痛い痛い！！やめてよ！！」

西くんはニヤッと笑うと、私の腕からパッと手を離した。
彼の細い腕からは、とても出るとは思えないほどの力だった。

「要するに…筋肉を膨張させる…みたいなこと…？」

私は掴まれた腕を抑えて彼を睨みつけながらそう言った。
腕はまだジンジンと痛みが続いている。

「へぇ…案外物分りいいな」

西くんは少し感心したように言った。

「…どうも」

西くんに褒められると、少し満更でもないと思ってしまう。

「…スーツについてはわかった。それじゃあ…銃について教えて。あれって普通の銃じゃないよね」

怪物が倒れたあの時を思い返すと、銃声も変な感じだった気がする。

「…」

西くんはおもむろに自分の鞄からあの銃を取り出した。