（あ…れ？）

そっと目を開けると、ついさっき私を殺そうとしていた怪物は血溜まりの上で、無惨な姿で死んでいた。

「え…助かった…の？」

混乱が解けずにぺたりと座り込んでぼーっとしていると、突然黒スーツの人の1人がこちらに向かって

「…またお前かよ」

と言った。

「え…？なんのこと…」

「悪いね」

私の声に被せるように、誰かの声が後ろから聞こえた。

声のしたほうを振り返ると、バチバチッと音を立てて西くんが姿を表した。

「西くん！？」

西くんは私を無視して通り過ぎると、黒スーツの人たちの元へ向かった。

「西…お前また橫取りかよ…」　

「また、って…前回はちゃんと戦っただろ」

「前回はな。でもその前も橫取りしたろ」

「うるせェな…好きにやらせろよ」

西くんは何やら黒スーツの人たちと口論を始める。

「しかもお前今回、女の子まで使って…汚ねぇぞ」

黒スーツの1人がチラリとこちらを見ながら言った。

「知らねェよ。勝手にこいつがヘマしただけだろ」

西くんはつられてチラッとこちらを睨むと、また視線を戻してしまった。

「あーあ…せっかく俺らのチャンスって思ったのによ〜」

「それな、あの時のサムライ星人、隙だらけだったよな」

（チャンス、って…）

彼らの言い回しはまるで人の命を何とも思っていないかのようで、背筋がゾクリとする。

そして、あの時西くんがサムライ星人を倒していなければ私は死んでいたのだと、改めて実感した。

「まぁ、いいや。次はコソコソ隠れてないでちゃんと戦えよ」

「はいはい。分かったッての。」

そんな彼らの会話を聞いているうちにまた、ジジジジ…と言う音が頭に響き、ふと気がつくと私はまたあのマンションの一室に戻っていた。