ふと音のした方を見ると、私が拳を置いていた車がひしゃげていた。

そして、先ほどまで騒がしかったはずなのに、辺りに音は一つも無くなっている。

…嫌な予感がする。

（…やば）

嫌な予感は的中したようで、ふと正面を見ると先程の怪物と黒スーツの人たちが全員こちらを見ていた。

（…バレた…どうしよう…）

どうしたら良いのかなど考える暇もなく、怪物は一瞬で刀のような武器をこちらへ向けて構え直した。

そして、その刀を大きく振りかぶる。

（…死ぬッ！！！）

私は咄嗟にそう思い、目をギュッと強く瞑った。
その瞬間、

キィエエエエエエ

という雄叫びと同時に、

バァァン

と何かが弾けるような音が辺りに響き渡った。