（はぁ…ほんと何やッてんだろ…私）

気がつくと、私はスポーツドリンクやら冷えピタやらを買い込んで西くんの家の前に立っていた。

死にそうと書いてあったのでさすがに少し心配になって来てしまったが、彼への怒りはまだ収まっていない。

（しかも学校サボッて…こんなやつのために…馬鹿じゃん）

私は一度大きくため息をつくと、西くんの家のインターホンを鳴らした。

…ガチャ

しばらくすると、扉が開いて中から西くんが顔を出した。

「あ、お前…」

「……」

私は軽く彼を睨みつけた。彼は本当に熱があるのか、心なしか顔が赤いような気がする。

「お前、わざわざ来るとか…どんだけ俺のこと好きなンだよ」

彼はなんだか嬉しそうにしている。

(何言ってんのこいつ…)

先程の能天気な彼の発言に、私は更にカチンと来ていた。

「いや…そういうのじゃないんで」

彼を少し睨んだまま冷たく返す

「…はッ？」

「今日はこれ渡しに来ただけなので……それでは」

私は買ってきたスポーツドリンクやら冷えピタやらが入った袋を彼に向かって雑に突きつけると、そのまま立ち去ろうと歩き出した。