「ッ…あ…の、西くん…？」

私は恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらも彼の方を見つめる。

「……」

彼は私の顔をじっと見つめ返すと、太ももに指をツーッと這わせ始めた。

「ッ……」

彼の指に触れられたあたりがゾワゾワとして、心臓が飛び出しそうなくらい、バクバクとうるさく鳴り響く。

「西くん…ッ」

恥ずかしさでたまらずに彼の名前を呼ぶ。
すると西くんは目を見開き、一瞬動きが止まった。

そう思うも束の間、彼は机の下に入れていた自分のカバンからカッターナイフをバッと取り出した。

「え…？」

彼は興奮したように瞳孔を開き息を荒くして、カッターナイフを私の太ももに押し当てると、力を込めてスーッと刃を這わせた。

「痛いッ！！」

突然の鋭い痛みと同時に光に反射してギラリと光った刃物が視界に入ると、私が死んだあの日の情景が一瞬でフラッシュバックする。

「……ッ！！」

私は咄嗟に西くんをつき飛ばすと、床に置いていた自分の荷物を手に取り彼の家を飛び出していった。