帰り道
Dream
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「腕痛ぇー…」
映画館から出ると、西くんはこちらを横目で見ながら、私がしがみついていたほうの腕を回して言った。
「…ごめん」
恥ずかしさと申し訳なさで俯きながらも、私は隣を歩く彼の手をそっと握った。
「…なんで苦手な癖にホラー映画のチケット買ったんだよ」
私が手を握ると彼は一瞬動きが止まったが、すぐに手を繋ぐことを受け入れてくれた。素直に手を繋いでくれたことが嬉しくて、彼の手を少しギュッと握りしめる。
「買ったんじゃなくて、もらったの」
「ハァ?貰ったッて…誰に」
「ロクさんに」
「……またあいつかよ」
彼は聞こえるか聞こえないかくらいの小さい声で、不機嫌そうに何かボソリと呟いた。
「え、何て…?」
「…何でもねぇよ」
うまく聞き取れずに私が聞き返すと、彼はふいっと目線を逸らしてしまった。
「でも、西くんはあんまり怖くなさそうだったね」
繋いだ手を軽く振りながら彼の顔を覗き込む。
「ッたり前…。あンなの、どこが怖ェんだよ」
彼はハッ…と鼻で笑うと余裕そうに口角を上げた
「えー!バンッて急に出てきたりしたら怖いじゃん〜」
「ハッ…俺らがいつも戦ッてるアイツらのがよッぽど怖いね」
彼は鼻で笑いながらそう言うと、
「まァ、アイツらも怖くねーけど」
と付け足した。
(たしかに…その通りかも。ガンツのターゲットのほうがずっと怖い…)
なんだか納得してしまって、私は
「…そっか」
とだけ答えた。