狂ったのはどっち?【コワ隊、閲覧注意】
「ひゅ、か、は…っ、ひゅ…っ」
自身の喉から漏れる呼吸音が煩くて、首を強く絞めたくなる衝動に駆られた。
正直、今のこの状態が続くぐらいなら、いっそ首を絞めて死んでしまいたい。
早く、楽になってしまいたいと
そんな願いは、目の前で相変わらずにこにこと気味の悪い笑いを見せる部下の前では無に等しいのだった。
「お、まえ、何…は、」
「苦しいですか?」
「みて、わから、ない…か、…?」
どうも彼はこの状況を楽しんでいるように見える。
私は普段より、いや、普段の此奴には見せたことの無い目で睨みつけた。
言うならば、宿敵に向ける目だ。
こいつはたった今、「信頼すべき部下」から「警戒すべき敵」と変わっているのだ。
そして私からそんな目で見られているというのに、彼は表情ひとつ変えず、ただ張り付いた笑みを続けていた。
ここまで来ると、警戒を通り越して最早恐怖さえ感じる。
「隊長、怖いですか?」
「っ、こわく、っ、なんか…あるか…っ、ひゅ…っ、は、ぁ」
「そうですかね」
息苦しさが増す。
こうなったのも、全て此奴の所為だと云うのに、よくもまぁ、そんな顔でいられるな、と心の中で悪態をついた。
こうなったのも、元はと言えばこいつのラボに呼び出されて、何か、飲み物を出されて、それから…。
急激に息苦しくなって、視界がぐらりと歪んで、身体に力が入らなくて、その場にへたり込んだ。
手を付いて、苦しそうにのどから音を漏らす私の様子を、彼奴はただ静かに、冷たい目で見つめていた。
「ね、隊長」
奴に声をかけられたと思えば、近づいて、体を屈めて私の目線に合わせた。
その一瞬、びくっと身体が跳ねて、それを見た奴はふふ、と笑った。
「やっぱ、怖いんでしょ」
「こ、こわくなんか」
「嘘」
じっと目を見つめられると調子が回らなくて、上手く呼吸ができない喉がより一層酷く哭く。
「怖いならそう言ってくださいよ」
「だ、から、私は…っ、う゛っ、!?」
再び拒否しようとすると、腹部を思いっきり蹴られ、苦しげに呻いた。
「ね、隊長、怖い?」
「う゛、ゲホ…っ、う、あ…」
「正直に言って、隊長。…怖いですか?」
じ、と光もなく暖かさもない目がただ一点、私の目だけを見つめている。
苦しさと痛みで苦痛に歪む顔はどう写っているんだろうか。
「っ、こ、わい……」
「…」
「だから、も、やめてくれ…」
「…コワルスキー…」
初めて名前を呼んだ。
コワルスキーは暫くじっとこちらを見ていたが、目を細めて厭らしく笑うとそっと私の頬に触れた。
「よかった」
頬に触れた手は、そのままつつ、と下へ滑り、首筋へと届く。
「苦しい思いをさせて、申し訳ありません」
首へ当てられた両手に、少しずつ力が入るのを感じる。
「今、楽にして差し上げます」
ぐ、と思いっきり力を入れられ、いよいよ息が出来なくなった。
「…頼む」
絞り出すように零した言葉は、しっかり相手に届いたようで、にこ、と隈の出来た目が微笑むのが霞む視界で最期に見れた。
最期の最後で頬に零れ落ちた冷たいものの正体は、残念ながら確認出来なかったが。
自身の喉から漏れる呼吸音が煩くて、首を強く絞めたくなる衝動に駆られた。
正直、今のこの状態が続くぐらいなら、いっそ首を絞めて死んでしまいたい。
早く、楽になってしまいたいと
そんな願いは、目の前で相変わらずにこにこと気味の悪い笑いを見せる部下の前では無に等しいのだった。
「お、まえ、何…は、」
「苦しいですか?」
「みて、わから、ない…か、…?」
どうも彼はこの状況を楽しんでいるように見える。
私は普段より、いや、普段の此奴には見せたことの無い目で睨みつけた。
言うならば、宿敵に向ける目だ。
こいつはたった今、「信頼すべき部下」から「警戒すべき敵」と変わっているのだ。
そして私からそんな目で見られているというのに、彼は表情ひとつ変えず、ただ張り付いた笑みを続けていた。
ここまで来ると、警戒を通り越して最早恐怖さえ感じる。
「隊長、怖いですか?」
「っ、こわく、っ、なんか…あるか…っ、ひゅ…っ、は、ぁ」
「そうですかね」
息苦しさが増す。
こうなったのも、全て此奴の所為だと云うのに、よくもまぁ、そんな顔でいられるな、と心の中で悪態をついた。
こうなったのも、元はと言えばこいつのラボに呼び出されて、何か、飲み物を出されて、それから…。
急激に息苦しくなって、視界がぐらりと歪んで、身体に力が入らなくて、その場にへたり込んだ。
手を付いて、苦しそうにのどから音を漏らす私の様子を、彼奴はただ静かに、冷たい目で見つめていた。
「ね、隊長」
奴に声をかけられたと思えば、近づいて、体を屈めて私の目線に合わせた。
その一瞬、びくっと身体が跳ねて、それを見た奴はふふ、と笑った。
「やっぱ、怖いんでしょ」
「こ、こわくなんか」
「嘘」
じっと目を見つめられると調子が回らなくて、上手く呼吸ができない喉がより一層酷く哭く。
「怖いならそう言ってくださいよ」
「だ、から、私は…っ、う゛っ、!?」
再び拒否しようとすると、腹部を思いっきり蹴られ、苦しげに呻いた。
「ね、隊長、怖い?」
「う゛、ゲホ…っ、う、あ…」
「正直に言って、隊長。…怖いですか?」
じ、と光もなく暖かさもない目がただ一点、私の目だけを見つめている。
苦しさと痛みで苦痛に歪む顔はどう写っているんだろうか。
「っ、こ、わい……」
「…」
「だから、も、やめてくれ…」
「…コワルスキー…」
初めて名前を呼んだ。
コワルスキーは暫くじっとこちらを見ていたが、目を細めて厭らしく笑うとそっと私の頬に触れた。
「よかった」
頬に触れた手は、そのままつつ、と下へ滑り、首筋へと届く。
「苦しい思いをさせて、申し訳ありません」
首へ当てられた両手に、少しずつ力が入るのを感じる。
「今、楽にして差し上げます」
ぐ、と思いっきり力を入れられ、いよいよ息が出来なくなった。
「…頼む」
絞り出すように零した言葉は、しっかり相手に届いたようで、にこ、と隈の出来た目が微笑むのが霞む視界で最期に見れた。
最期の最後で頬に零れ落ちた冷たいものの正体は、残念ながら確認出来なかったが。
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