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零の復活

 迸るラテン臭に慄きつつ、話が長くなりそうだったので湯呑みの残骸だけを片付けて早々に退散。
 何かあったら僕か十四郎に言ってくれ、なんてただの旗でしかない。怪我を負わされ四番隊に担ぎ込まれ卯ノ花隊長に暗黒微笑で問い詰められるところまで見えた。このネタ誰かに使ってやる。南無三。

 執務室を後にした私が向かったのは、平隊士が詰めているであろう事務室。案の定、私が入った瞬間に冷たい視線が矢のように飛んできたが、夢主歴の長い私の敵ではない。徒手で叩き落とせる。
 事務室の空席は多かった。外回り、手合わせ、現世任務、エトセトラ。もともと机に座ってする仕事ばかりの職ではないのだから、当然といえば当然。少なくない空席から己の席を探すにはどうすればいいか。答えは簡単だ。
 菊だ。菊の花を探せばいい。

「あれ? 戻って来たんだ。ごめんねえ、死んじゃったと思って菊の花お供えしちゃったあ」
「ありがとうございます。死んだことには変わりありませんから」

 やはり、私の机らしき場所には菊の花が添えられていた。ただし未処理と思しき書類もある。死人に仕事させるとはここの方々は鬼なのだろうか。
 今日は卯月甘菜の葬式にしよう。二度と墓から出てくるなよと想いを込めて菊の花に手を合わせる。私を冷やかしに来た女性は周囲と顔を見合わせ、小馬鹿にしたように肩を竦めていた。

 よく分からない事務仕事を雰囲気で消化していく。大体が墨や紙の残りを数えて来いだとか、十一番隊へ書類を取りに行って来いだとか、面倒ではあるが非常に単純な仕事だったのは助かった。
 私が使えるのは林檎社のパソコン、それもイラレとフォトショにインデザは嗜む程度といったパソコン能力。タイピングに自信はあるがワードとエクセル、パワポの戦闘力は5程度だ。とてもじゃないがバッターボックスには立てない。とにかく時間と足でどうになかる仕事で良かった。社畜は残業五時間にも慣れている。
 仕事が長引いて良かったこともある。柄慧のロードが終わったのだ。つまり、今この世界には私を含め七人の(最強)夢主が存在している。下手をしたらバトロワでも始まりそうなメンツだが、私の手の中にエクスカリバーがある限り、ハッピーエンド以外はありえない。

 召喚した夢主もとい友人たちはそれぞれ三番隊、六番隊、九番隊、十一番隊、十二番隊、十三番隊にいる。
 誰もいない事務室で、私は静かに斬魄刀を構えた。短刀ほどの長さの斬魄刀。解号の言葉は水の中から浮き上がるように、自然と舌に乗っていた。

「ご用件はなんでしょうか! “須眞火(ルビ:すまほ)”!!」
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