モモの詩
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「ぁ、はぁっ、…名無しさん…」
酸素に触れた鮮血は鮮やかとは程遠い赤黒い色へと変色を遂げ、純白の室内を染め上げた。鉄を含むシーツのベタつきさえも愛おしい。膝をつき、ベッドに横たわる名無しを労るように抱き締めると肩を震わせていた。冷えた身体は貧血を起こしているのか唇にチアノーゼが見受けられ、羽で包み込み回復をはかる。
「嗚呼、可哀想な名無しさん。なんて無惨な。」
毟り取られた羽、この世界ではこの羽は命を同じなのだ。それをこの天使は些細な会話をきっかけに1枚残らず引きちぎったのだ。狂気の沙汰。その言葉以外見当たらない。
「…うっ、ぅっ……っ!」
回復してゆく身体、虚ろだった思考が正常を取り戻してゆき、鮮明になる残酷な現実。床に散りばめられた無数の赤黒い羽、軽くなった背中。動かしても広がらない。
「わ、たし…天使なのに、羽、が、ない…誰も…私のこと…っ…」
「誰も。そうですね。誰も名無しさんにちょっかいを出さなくなる。そうです、そうですよ。何処にも行かない、誰にも相手にされない、、こんな、こんっな!“良いこと尽くし”だなんて!」
「……良いこと?」
Bは何を言っているの?
「わたし以外、貴女を相手にしない、どれだけわたしが願っていた事か名無しさんには分かりますか?」
天国とはまさに
「この事を言うのですねぇ…。」
独り占めなんて生易しい事しませんよ。
「もっと、孤立しましょう。もっと誰からも相手にされない名無しさんになってください。」
わたしが心の底から愛し安心できるように。
「次はどこを傷つけたら良いですか?」
-終-
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