生意気な年下にうっかり惚れられまして。-シリーズ番外編
驚いているはずなのにここまで表情がでないもんなのかと自分のことながらに不思議だなと思う。
広げられたソファベッドに寄り添って寝る二人は恋人同士のような親密さにしか見えない。
とはいえ、職場とは違う少し乱れた髪の男にしがみついて寝ているあどけない寝顔の男は、一応自分の恋人のはずだったはず。
(どうしたらいいものか)
「白井さん……?」
とりあえず声をかけてみると、ぴくりとまぶたが動いたのち、少しづつ覚醒していく。
「ん……、……?、えっ?あっ?!」
ようやく状況に気づいたのか、椋太は混乱したように周りを見回す。
「えっと澤村……」
自分を見る目は少し怯えたような色をしている。
(あー……。これは小原と飲んでとかそういうのか。飲みグセが悪いとかは聞いたことはなかったが)
「小原さんと飲みでもいってたのか」
「あ、うん」
とりあえず聞いてみると、予想通りの答えだった。
「まだ朝ごはん食べてないのなら何かかってくるが」
「あ、ありがとう……でも」
冷静を装った言葉しかでてこないのが相変わらず不思議だったが、それでもモヤモヤとした気持が渦巻いていることは自覚している。
今はあまり詳細を聞ける体勢ではないと判断し、朔は椋太の言葉を遮って玄関へと向かった。
コンビニでかごを拾い上げると、パンコーナーへと向かう。
反射的に椋太が好きなミルクパンを手にとってしまい、複雑な気分になる。
まだ小原もいるだろうと適当にコッペパンやコーヒーなどいくつかの商品をカゴに放り込んでいく。
(3人で朝飯するのか?滑稽だな)
その様子を想像すると苦笑しか浮かんでこない。
二人はいつ親密になったのだろうか。何日か前までは苦手と漏らしていたのにと思いながら、先程の姿を思い浮かべる。
「なにひっついてんだ、あいつ」
小原にしがみつくように寝ていたのを思い出すと、カゴを持つ手に力がはいる。
大きくため息をつくと、レジに向かう。
「1260円でーす」
やる気のないコンビニ店員の声にまた一つ大きなため息をつくと、店員の体がびくりと跳ねた。
(しまった)
厄介な怖い客と認定したのかコンビニ店員の声がより小さくなる。
自分の顔が怖がられるのは知っていたので、引きつりながらも笑みを浮かべると、お釣りのないように代金を丁寧に差し出す。
「ちょ、丁度お預かり、します!!あざーっした!!!!」
びびったような店員の大声に軽く頭を下げると、そのまま袋を下げて出ていく。
(さて、本当にどうしたものか)
修羅場が待ち構えているのか、何が起こるのか。
自分がどうしたいのかもあまりわからないまま、澤村は帰り道を引き伸ばすようにゆっくり帰ったのだった。
広げられたソファベッドに寄り添って寝る二人は恋人同士のような親密さにしか見えない。
とはいえ、職場とは違う少し乱れた髪の男にしがみついて寝ているあどけない寝顔の男は、一応自分の恋人のはずだったはず。
(どうしたらいいものか)
「白井さん……?」
とりあえず声をかけてみると、ぴくりとまぶたが動いたのち、少しづつ覚醒していく。
「ん……、……?、えっ?あっ?!」
ようやく状況に気づいたのか、椋太は混乱したように周りを見回す。
「えっと澤村……」
自分を見る目は少し怯えたような色をしている。
(あー……。これは小原と飲んでとかそういうのか。飲みグセが悪いとかは聞いたことはなかったが)
「小原さんと飲みでもいってたのか」
「あ、うん」
とりあえず聞いてみると、予想通りの答えだった。
「まだ朝ごはん食べてないのなら何かかってくるが」
「あ、ありがとう……でも」
冷静を装った言葉しかでてこないのが相変わらず不思議だったが、それでもモヤモヤとした気持が渦巻いていることは自覚している。
今はあまり詳細を聞ける体勢ではないと判断し、朔は椋太の言葉を遮って玄関へと向かった。
コンビニでかごを拾い上げると、パンコーナーへと向かう。
反射的に椋太が好きなミルクパンを手にとってしまい、複雑な気分になる。
まだ小原もいるだろうと適当にコッペパンやコーヒーなどいくつかの商品をカゴに放り込んでいく。
(3人で朝飯するのか?滑稽だな)
その様子を想像すると苦笑しか浮かんでこない。
二人はいつ親密になったのだろうか。何日か前までは苦手と漏らしていたのにと思いながら、先程の姿を思い浮かべる。
「なにひっついてんだ、あいつ」
小原にしがみつくように寝ていたのを思い出すと、カゴを持つ手に力がはいる。
大きくため息をつくと、レジに向かう。
「1260円でーす」
やる気のないコンビニ店員の声にまた一つ大きなため息をつくと、店員の体がびくりと跳ねた。
(しまった)
厄介な怖い客と認定したのかコンビニ店員の声がより小さくなる。
自分の顔が怖がられるのは知っていたので、引きつりながらも笑みを浮かべると、お釣りのないように代金を丁寧に差し出す。
「ちょ、丁度お預かり、します!!あざーっした!!!!」
びびったような店員の大声に軽く頭を下げると、そのまま袋を下げて出ていく。
(さて、本当にどうしたものか)
修羅場が待ち構えているのか、何が起こるのか。
自分がどうしたいのかもあまりわからないまま、澤村は帰り道を引き伸ばすようにゆっくり帰ったのだった。
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