俺の居場所
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カラン、と氷の音がグラスに鳴り響く。
その氷と共にしている度数の強い酒を一気に飲めば、ジワリとアルコールが身体に染み渡るのを感じる。
ふうと一息ついて、腰を下ろしているソファからズリと身体を深く沈めた。
帽子も深く被り直し、顔が見えないようにする。
今日も疲れた。
走ったり、泳いだり、飛んだり。
ルパンの野郎があんな所でヘマなんてしなきゃ面倒なことにはならなかったんだ。
心の内で仲間の悪態をつく。が、それはすぐに止んだ。
疲れからかの眠気か、ウトウトと夢の世界へ旅立とうとする。
「・・・次元」
恋人の呼ぶ声が聞こえた気がした。もちろん俺の。
帽子を上げ、薄らと目を開けば彼女も疲れたように服を握り締めながら立っていた。
なんだ、そんなに俺が恋しいか?
フンと小さく鼻で笑いながら腕を広げれば、彼女がソっと寄り添う形で俺に身体を委ねた。
妙に浮く俺の気持ち。
「ん・・・、髭、切ればいいのに」
「そりゃ無理な注文だな」
俺は彼女を抱きしめながらわざと髭を押し付ける。
そうすれば彼女はくすぐったそうに小さく笑った。お酒臭いとポツリと言って。
この髭が無くなったらお前の今のような些細な笑顔も見れなくなっちまうだろ。
そう彼女に伝えたら、どんな反応を俺に見せてくれるのだろう。
仔犬が、仔猫がじゃれ合うように彼女と愛を語り合えば、
徐々に、だけども確実に熱を持ち始める互の身体。
それは俺に”幸せ”と思う気持ちを与えてくれた。
彼女にそれを伝えたら、果たして彼女も頷いてくれるのだろうか。
いつも、だけども不意に訪れたこの雲がかかる様な感情に溺れる。
そんな俺の心情を知ってか知らずか、彼女が俺に言う。
「大好きだよ。次元」
その言葉は俺のくすんだ心を綺麗に浄化した。
そして俺は今日も彼女と夜を共にする。
Fin. 2014/2/7
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