オートフィクション

24 年末

2019/07/22 12:40
彼と付き合うようになってから、女性に惹かれるようになった。男の人よりも、女の人の顔を見てしまう。彼と同じような雰囲気の人がいれば、必ず目で追ってしまう。格好いい……と感じる。

「あの人、格好いい」

私達と入れ違いに、ガソリンスタンドに入ってきた車を誘導する女性を見ながらぽつりと呟くと、助手席に乗っていた友達はその隣の男性スタッフを見て「好み変わった?」と聞いてきた。私は曖昧にうなずいてアクセルを踏む。サイドミラーに視線を向けると、その中で彼女が私の車に向かって頭を下げていた。

急に彼に会いたくなる。だけど、今日は夜勤だから会えない。

「31日だから、人多いね」

友達がそう言った。そういえば、去年も年末はこの子といた。その時も同じことを言っていた気がする。

去年の年末、私は男の人と付き合っていた。そしてその時も、その彼は夜勤だった。

「毎年、毎年変わらないねぇ」

来年の年末、私は誰といるんだろう。ふと考えたけれど、今の彼と一緒にいる未来しか想像出来なかった。

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