オートフィクション
26 世界平和
2019/11/12 22:39「調子乗ってんだ」
聞こえてきた言葉に不快感を抱く。見れば、40代くらいの女二人が、手元のケーキをつつきながら話していた。ショートカットの女が言う。
「苦労したことないからよ。世間がどうなってんのか知らないの」
言葉に言い表せない不快感に駆られる。彼女達の言葉の強さに身がすくむ。調子乗ってるらしき知人に対する怒りや軽蔑の思いが、カフェで隣合って座っただけの私の元へも伝わってくる。
「ほんと、不幸になればいいのにって思っちゃう」
その言葉を決定打に、私は席を立った。
傷つくことが怖い私は、自分の世界を穏やかに保つため、他人の言葉に敏感だ。誰かが誰かを批判したり、軽蔑したり、馬鹿にしたりする言葉なんて聞きたくない。そんなの良くない。そう思うなら席を立てばいい。それだけのこと。車に向かいながら、他人の不幸を願う女なんてろくな女じゃないな……と思う。そして、自分の中にもさっきの女を軽蔑する気持ちがあることに気付き、ため息をついた。
聞こえてきた言葉に不快感を抱く。見れば、40代くらいの女二人が、手元のケーキをつつきながら話していた。ショートカットの女が言う。
「苦労したことないからよ。世間がどうなってんのか知らないの」
言葉に言い表せない不快感に駆られる。彼女達の言葉の強さに身がすくむ。調子乗ってるらしき知人に対する怒りや軽蔑の思いが、カフェで隣合って座っただけの私の元へも伝わってくる。
「ほんと、不幸になればいいのにって思っちゃう」
その言葉を決定打に、私は席を立った。
傷つくことが怖い私は、自分の世界を穏やかに保つため、他人の言葉に敏感だ。誰かが誰かを批判したり、軽蔑したり、馬鹿にしたりする言葉なんて聞きたくない。そんなの良くない。そう思うなら席を立てばいい。それだけのこと。車に向かいながら、他人の不幸を願う女なんてろくな女じゃないな……と思う。そして、自分の中にもさっきの女を軽蔑する気持ちがあることに気付き、ため息をついた。