3.記憶


翔さんの言葉で、”あの日”の出来事が急にフラッシュバックする。



頬に触れる大野さんの指先。

強引だけど柔らかい、唇。

間近に見る、いつもとは違う真剣な眼差し…



体内の血液が逆流するかのように、顔中が熱くなる。


「え?あ、いや、えっと…ちょっと進まなくなったんで…帰っちゃいました」

「そうだったの?」

「まぁ…えっと…そろそろもう戻りましょうか」


手に持ったコーヒーを一気に飲み干し、翔さんの顔を見れないまま自席へと戻った。



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