3.記憶
「ニノ、資料できた?」
翔さんに声をかけられ、会議までになんとか間に合った資料を手渡した。
結局、あの日は仕事なんかする気になれなくて、自宅に持って帰ったけれど休日も全く捗らず。
今朝少し早く出勤してなんとかカタチにした。
「結局…あんま変わってないですけどね」
数字をグラフ化して、少し見やすくしただけだったが、それでも翔さんは笑顔で労ってくれた。
会議は無事に終わり、自販機でコーヒーを買って、自販機前の椅子に腰掛け翔さんと一息ついた。
「いやぁこの前悪かったな。手伝わずに先帰っちゃって」
「いや、いいっスよ。俺がやりたいって言い出したんですし。翔さん、デートだったんでしょ?」
横目で見ると、少し慌てた様子で、でも笑顔には嬉しさが滲んでいた。
「まぁ…久しぶりだったからさ」
遠距離だという翔さん。
俺だったら遠距離なんて到底無理だなと思うが、律儀で計画的な翔さんなら上手くやってるんだろうなと想像がつく。
「ニノは?恋人いないの?」
「あー、今はいないっスね」
数年前に彼女と別れてから、今の仕事が軌道に乗って、楽しくなっていた。
彼女に振り回されることも無く仕事に没頭できることに、むしろ満足していた。
「え?そうなの?今朝資料作ってたから、あの日はすぐ帰ってデートでもしてたのかと思ったんだけど」
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翔さんに声をかけられ、会議までになんとか間に合った資料を手渡した。
結局、あの日は仕事なんかする気になれなくて、自宅に持って帰ったけれど休日も全く捗らず。
今朝少し早く出勤してなんとかカタチにした。
「結局…あんま変わってないですけどね」
数字をグラフ化して、少し見やすくしただけだったが、それでも翔さんは笑顔で労ってくれた。
会議は無事に終わり、自販機でコーヒーを買って、自販機前の椅子に腰掛け翔さんと一息ついた。
「いやぁこの前悪かったな。手伝わずに先帰っちゃって」
「いや、いいっスよ。俺がやりたいって言い出したんですし。翔さん、デートだったんでしょ?」
横目で見ると、少し慌てた様子で、でも笑顔には嬉しさが滲んでいた。
「まぁ…久しぶりだったからさ」
遠距離だという翔さん。
俺だったら遠距離なんて到底無理だなと思うが、律儀で計画的な翔さんなら上手くやってるんだろうなと想像がつく。
「ニノは?恋人いないの?」
「あー、今はいないっスね」
数年前に彼女と別れてから、今の仕事が軌道に乗って、楽しくなっていた。
彼女に振り回されることも無く仕事に没頭できることに、むしろ満足していた。
「え?そうなの?今朝資料作ってたから、あの日はすぐ帰ってデートでもしてたのかと思ったんだけど」
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