1.煙草
…やっぱり綺麗な手だな。
煙草を咥えながら、また険しい表情でパソコンに向かってキーを打つ指先を、煙草をふかしながら眺める。
煩わしいのか、締めていたネクタイを緩め、ボタンを一つ外す。
首をコキコキと鳴らす仕草で見える首筋が、また妙に色気があって。
…って俺、何考えてんだ。
自分の発想に思わず自嘲の笑を浮かべた。
でも…どうせだから想像してみる。
『あの指先はどんな風に触れる?』
『あの腕で抱きしめられたら…』
男相手にほんと何考えてるんだ…と呆れながらも、想像は脳内を駆け巡り、顔が段々熱くなるのがわかる…
「お前さ…」
「え?」
声をかけられ我に返ると、思いのほか大野さんの顔が近くにあって、身じろぐ。
咥えていた煙草を灰皿へ押入れ、大野さんの指が俺の目の前に近づいてくる。
徐々に近づいてくるその指に、まるで魔法をかけられていくみたいで、目を逸らすことができない。
その綺麗な指先が、手のひらが、目の前から俺の頬へ移り、触れるか触れないかくらいで、ふんわりと包み込む。
「…そんな顔してるお前が悪い」
気づいたときには、俺の唇に大野さんの唇が重なっていた…
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煙草を咥えながら、また険しい表情でパソコンに向かってキーを打つ指先を、煙草をふかしながら眺める。
煩わしいのか、締めていたネクタイを緩め、ボタンを一つ外す。
首をコキコキと鳴らす仕草で見える首筋が、また妙に色気があって。
…って俺、何考えてんだ。
自分の発想に思わず自嘲の笑を浮かべた。
でも…どうせだから想像してみる。
『あの指先はどんな風に触れる?』
『あの腕で抱きしめられたら…』
男相手にほんと何考えてるんだ…と呆れながらも、想像は脳内を駆け巡り、顔が段々熱くなるのがわかる…
「お前さ…」
「え?」
声をかけられ我に返ると、思いのほか大野さんの顔が近くにあって、身じろぐ。
咥えていた煙草を灰皿へ押入れ、大野さんの指が俺の目の前に近づいてくる。
徐々に近づいてくるその指に、まるで魔法をかけられていくみたいで、目を逸らすことができない。
その綺麗な指先が、手のひらが、目の前から俺の頬へ移り、触れるか触れないかくらいで、ふんわりと包み込む。
「…そんな顔してるお前が悪い」
気づいたときには、俺の唇に大野さんの唇が重なっていた…
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