宝石に希望をかける
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たたた、たたたん、たんたん。
イデアは自分がその場に居るのにイヤホンすらせず内蔵スピーカーで音ゲーに勤しむくらいに成長したなまえを見ながらこいつはいよいよだな、と笑った。
「トロコン作業とは精が出ますなァ」
何も来客中だとか関係なしに没頭しているのではなく同室で別業務をこなすのが距離感としてはちょうどいいとお互い理解してしまっているため、お茶出して合いそうな菓子を置いてあとは各自で適当にくつろいでいった結果現在に至る。
当然話しかけるのはリザルト画面が出たのを見計らってから。
「まだ全然ですよ。同じ曲を何回もやろうとしても疲れちゃって身が入らないったらありゃしない」
言い終えると背伸びをしてからもう一度ソファに倒れ込むなまえの視界では錯視画像を眺めて感じる症状と同じようにあらゆるものが動いて見える。ちょっとのめり込むとすぐこれだ。コントローラーを置いてドリンクに口をつける。
「なまえ氏って根が真面目と言いますか、プレイングが几帳面な所あるよね」
選曲画面で放置すると楽曲のサビだけが短くループしてこれまた気が滅入る。ハードデフォルトの味気ないホームに戻さないとおちおち体を休められない。
資金少ない現在では一作買ったら寄り道してクリアして実績埋めてから次のソフトを買うようなペースで進行しており、セールで購入したダウンロードソフトたちがライブラリの肥やしとなっているイデアとは対称的。
「ある種の完璧主義かもしれませんよ、フルコン逃すとリタイアして電源落とす程ですからね」
「それ一生フルコンできなくない?」
「はい。諦めたのでいつからか通しでしかプレイしなくなりましたね」
どちらからともなく乾いた笑いが出る。
冷えた飲み物で喉を潤してひとまず満足したなまえの指が次の演奏を始める。
ところで、なまえは集中力を使いすぎて周りが見えなくなる傾向が強い。ぬるゲーマーを自称する本人の動きには少なくない無駄が見受けられるが、とにかく、忙しないレーンを見ていると自分の口が薄く開いていてもなかなか気付くのが難しい。
流石に人がいるのだから控えたくても勝手になるんだからしょうがない。
時折口を閉じてはすぐに戻ってしまうところを横目で観察するイデアにふと魔が差す。
曲がもうしばらく続くかどうかゲージで確認すると袖を少し捲り、ゲームプレイを見る振りをして長い指を視界の外から慎重に口元へ近付ける。
脳で処理できる範囲が極端に狭くなってしまっているなまえは彼のいたずらを察知できない。指の背で口を閉じさせてからかおうと目論むイデアは、途中でゲームを止められないなまえが面白おかしく困るところを想像して口角が上がる。
掠めた唇がイデアの指に食いつくまでは。
「む?」
「〜〜〜〜〜〜ッア!!!」
すかさず手を引っ込めたイデアが声にならない悲鳴をあげて床をのたうち回り、なんかやらかしたなと気が動転しつつも特に指を止めずに打ち続けているなまえは視界端でコンボ切れを捉えてしまい、心のどこかから舌打ちが聞こえてくる。
「く、喰わ、喰われ」
難所を過ぎたタイミングで一時停止をかけ、転がっているイデアを座ったまま見下ろす形で窺う。
「お菓子出してくれたのかと思って食べちゃったじゃないですか、全くもう」
「知らんしなんか指湿ってるんですけど!!!」
「早く洗ってきてください」
ぎゃんぎゃん喚いていたイデアも自業自得のあまり返す言葉がない。冷静に突っ返されると暴れる気力も起きず、半泣きでのろのろと廊下に出ていった。
イデアは自分がその場に居るのにイヤホンすらせず内蔵スピーカーで音ゲーに勤しむくらいに成長したなまえを見ながらこいつはいよいよだな、と笑った。
「トロコン作業とは精が出ますなァ」
何も来客中だとか関係なしに没頭しているのではなく同室で別業務をこなすのが距離感としてはちょうどいいとお互い理解してしまっているため、お茶出して合いそうな菓子を置いてあとは各自で適当にくつろいでいった結果現在に至る。
当然話しかけるのはリザルト画面が出たのを見計らってから。
「まだ全然ですよ。同じ曲を何回もやろうとしても疲れちゃって身が入らないったらありゃしない」
言い終えると背伸びをしてからもう一度ソファに倒れ込むなまえの視界では錯視画像を眺めて感じる症状と同じようにあらゆるものが動いて見える。ちょっとのめり込むとすぐこれだ。コントローラーを置いてドリンクに口をつける。
「なまえ氏って根が真面目と言いますか、プレイングが几帳面な所あるよね」
選曲画面で放置すると楽曲のサビだけが短くループしてこれまた気が滅入る。ハードデフォルトの味気ないホームに戻さないとおちおち体を休められない。
資金少ない現在では一作買ったら寄り道してクリアして実績埋めてから次のソフトを買うようなペースで進行しており、セールで購入したダウンロードソフトたちがライブラリの肥やしとなっているイデアとは対称的。
「ある種の完璧主義かもしれませんよ、フルコン逃すとリタイアして電源落とす程ですからね」
「それ一生フルコンできなくない?」
「はい。諦めたのでいつからか通しでしかプレイしなくなりましたね」
どちらからともなく乾いた笑いが出る。
冷えた飲み物で喉を潤してひとまず満足したなまえの指が次の演奏を始める。
ところで、なまえは集中力を使いすぎて周りが見えなくなる傾向が強い。ぬるゲーマーを自称する本人の動きには少なくない無駄が見受けられるが、とにかく、忙しないレーンを見ていると自分の口が薄く開いていてもなかなか気付くのが難しい。
流石に人がいるのだから控えたくても勝手になるんだからしょうがない。
時折口を閉じてはすぐに戻ってしまうところを横目で観察するイデアにふと魔が差す。
曲がもうしばらく続くかどうかゲージで確認すると袖を少し捲り、ゲームプレイを見る振りをして長い指を視界の外から慎重に口元へ近付ける。
脳で処理できる範囲が極端に狭くなってしまっているなまえは彼のいたずらを察知できない。指の背で口を閉じさせてからかおうと目論むイデアは、途中でゲームを止められないなまえが面白おかしく困るところを想像して口角が上がる。
掠めた唇がイデアの指に食いつくまでは。
「む?」
「〜〜〜〜〜〜ッア!!!」
すかさず手を引っ込めたイデアが声にならない悲鳴をあげて床をのたうち回り、なんかやらかしたなと気が動転しつつも特に指を止めずに打ち続けているなまえは視界端でコンボ切れを捉えてしまい、心のどこかから舌打ちが聞こえてくる。
「く、喰わ、喰われ」
難所を過ぎたタイミングで一時停止をかけ、転がっているイデアを座ったまま見下ろす形で窺う。
「お菓子出してくれたのかと思って食べちゃったじゃないですか、全くもう」
「知らんしなんか指湿ってるんですけど!!!」
「早く洗ってきてください」
ぎゃんぎゃん喚いていたイデアも自業自得のあまり返す言葉がない。冷静に突っ返されると暴れる気力も起きず、半泣きでのろのろと廊下に出ていった。
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