PSYREN短編
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手には馬を模した木製の人形。
「メリーゴーランド」
「ハ?」
「メルィィィゴーランドゥ」
「んな巻き舌バリバリで発言されても困るんだよ、なんだそれ」
自分なりに必死で頼んでいるのに、この男ときたら理解してくれない。
「知らないのメリーゴーランド。ああ言い方を変えたほうがいいかな、カルーセルだよカルゥゥセル」
「いや、わかるんだが意味がわからん」
「やって」
そう言ってずい、と馬をグラナに押し付ける。
……なんて嫌そうな顔をするんだ。
旧市街で発見したこのおもちゃは私の記憶をゆさぶり、童心を呼び覚ました。
いつも無理難題を押し付けてはグラナで遊んでいるがこんなに素敵なものがまだ残っていたとはつゆも知らなかった。
童心と言っても、過去子供だった私はこんなもの子供だましに過ぎないと近寄ることはなかったのだが。
しかし今の私は知っている、暗くなった遊園地でひときわ輝くソレが実は好きだった、見てるだけで満足だったのだと。
「…で、その馬をなんでふたつも持ってるんだ?」
「なに言ってんのグラナ、カプリコの分に決まってるじゃない」
「お前……いつも思うんだが言葉が足らなさすぎるぞ」
「カプリコカプリコ、メリーゴランド乗ったことある? メルィィィゴーランドゥ」
「ないよ!」
「聞けよ! ああもう仕方ねーなァ!! 乗れホラ早く!」
グラナの手によって抜群の安定性で浮かぶ馬、そこにはネジもからくり無い。
私が知っているメリーゴーランドとほぼ同じ動きで回りだす、高さは間違いなく間違っているが。
前にいるカプリコもきゃっきゃと無邪気に喜んでいるし、私もすごく楽しかった。
「はー楽しかった、ジュナスは見てるだけ? 乗らないの?」
「誰が乗るか」
「こういうムダなことにPSIを使わせんじゃねェよ」
「むしろこういうことに全力を尽くしてくれないと困るよ、楽しかったよね」
「うん! ねー次はせんたっきでやって!」
「あのな……」
ちなみにせんたっきとはグラナが私たちを高速でグルグル回すことを指す。
今度はコーヒーカップをやってもらおうかなあ、ジェットコースターかなあ。
「つーかあの動きだけだったら馬いらねぇだろ」
「えーいるよー、まず形から入らないとさー」
気分が盛り上がらないし、なにより面白みがないだろう。
ソレがなくては出来ないという限定感とでも言おうか、楽しさが五割は違うね。
そんなわけでしばらくはこの遊園地ごっこに付き合ってもらうことにしよう。
電飾や愉快な音楽などひとかけらも無いが、ここは私にとって小さな遊園地だ。
それから仲間内でしばしメリーゴーランドが流行ったというのは、また別のお話。
