腐っても時渡り
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私は攻め、私は攻め、私は攻め…………
今日こそ押し倒す!
「なあ…雨宮、アイツ獲物を狙う獣の目になってねーか…? そろそろヤバいんじゃ…」
「家では普通なんだけど…原因がよくわからないわ」
訓練は六日目に突入していた。
ヤる気も……出して、いろんな手を尽くしてみたが、まだ肩も掴めていない。
真正面から行きすぎなのか…ふふふ、困った子猫ちゃんだ……
うおお、気持ち悪い…!
影虎さんの動きは大体つかめた、はず。
「いきます!」
体全体を落として走り蹴りを待つ。
来た、右足。
ここまでは予測してるのですぐさまスライディングに移行。
「ほあァ!」
背後に回ってもまだ裏拳があるから近寄らない!
完全にこっちを振り向こうとした時に…!!
「ジャンッ!」
ピングッ!
隙あり横腹! 腹筋背筋両方楽しむ一石二鳥ゲットだぜ!
よっしゃあー! できたー!!
うおお、ごつごつ筋肉…やっと会えたね…!
ああ、長かった…実に長かった……私でもできるんだ、よかった…!
「……よし、合格だ。よくがんばったな」
「はい! ありがとうございます!」
しかし、これでライズは苦手な分野であることがわかったので、一時的な筋力増加にしか使えないだろう。
結局は小細工で勝負したし……桜子さんや影虎さんみたいに器用に使いこなせる気がしないよ…!
「そろそろ休憩にしとけ、来い朝河」
「ウス」
ふぅー…
「お疲れ様、満月」
「桜子さん…アゲハのところにいなくていいの?」
「あっちも脳を休めてるところだから」
「そうなんだ……みんなすごいなあ、私なんか一つのことでいっぱいいっぱいなのに」
「最初のうちは誰でもそうよ。私だって一時は生きるだけで精一杯だったんだから」
いままで味方がいなかった桜子さんが日々をどうやって過ごしていたか、それを考えると胸が痛くなる。
桜子さんの痛みに比べたら私が受けた攻撃なんてこれっぽっちも痛くないだろう。
それもあって、こうして合格できた、今度はトランスを学ぼう、それで技を作って……
「桜子さん」
「なに?」
「……私、足手まといにならないようにするから」
貪欲だ、桜子さんを助けたい、桜子さんの役に立ちたい、桜子さんの足手まといになりたくない。
この世界を苦しまずに満喫したい。
それは全部私のエゴだ。
だからってやめる気はない、どうせ片足突っ込んだドロ舟、毒食らわば皿まで。
それにもっと先へ進めば、このゲームをクリアしたら、元の世界に戻る手がかりだってあるはず。
「っしゃあっ! 次は星崎!」
「はいっ!」
ようしもういっぺん! 今度はその大胸筋さわさわするぞ!
気持ち悪くてごめんなさい影虎さん!
翌日、早朝、インターホン。
「誰……?」
時間はまだ六時になるかならないかのところ、迷惑な客人もいるもんだ……
「ふあい、どなたでしょーか」
『やあ、おはよう』
「朧サン……ちょっとまってください、あけますから…」
下の階の自動ドアを開けて、上がってくるまでに桜子さんを起こして。
私は…もう一眠りするかな。
「桜子さーん、朧さんがきたよお」
「んん…? そぼろぉ?」
…かわいい…
またインターホンが鳴る、一応映像を確認して、再度朧さんが来たことを伝えるとようやく起きだした。
「えくれあ…? えくれあがわたし達になんの用なの?」
「よくわからないけど昨晩連絡があってね、だから君達にも着いてきてもらいたい」
「あい……あい…」
かわいい……
「君はどうする?」
「私はのこるから三人でどおぞ…話なら桜子さんからきくから……」
それから掃除と洗濯と…PSIの訓練もしなくちゃだし……
それに三人以上は乗れそうにないし…大所帯で行くのもね。
「じゃあ、彼女を少し預からせてもらうよ」
「桜子さん…着替えないと」
「あい……」
「いってきます…」
「桜子さん、眼鏡眼鏡…!」
んなベタな。
しかしかわいいなああ、さすが桜子さん。
あんな姿見て動じない朧さんのガチ加減も素晴らしいぞ。
「さってとぉ……!!」
せっかく早起きしたんだし、さっと終わらせてぴゃっと訓練に向かいますか。
お洗濯の間にお掃除…それでもまだ時間は余るからなにか技のヒントになるものでも探そう。
桜子さんにいつでも相談できるように、なるべく近いものがいいだろう。
それと、今のところ得意なこのバーストを活用できるもの……
「触手……」
バーストを発動するとすぐに腕から出てくる触手たち。
……これでなにをやりたかったかは…すぐに想像がつく。
「こーいうネタもアリだなあ」
洗濯機が止まる音がした、さて、あれを干し終わったら出る支度をしなくちゃ。
「おはようございます、今日もお願いします」
「オウ」
「? 満月、雨宮と夜科は?」
そうヒリューに聞かれ、ちょっと遅れると伝えた。
それと一応、声をひそめて影虎さんに聞こえないように。
「朝早くに朧さんが連れていったよ、エルモアさんに呼ばれたらしくて」
「エルモア? それってあのエルモアか?」
「たぶんね。すぐ戻ってくると思うけど」
予想通り数時間後に戻ってきた、二人は。
アゲハは天樹院家で修行をするからと桜子さんが言っていた。
ううむ、今さらだけど会いたかったかも、エルモアウッドの子供たち。
まあ、いずれ会えるだろう。
「何してるの満月?」
「バーストにトランスを練りこむ練習……」
「…そういえば、相性について説明してなかったわね」
「うーん、トランスの波動はバーストで消せるけど、トランスをバーストで保護できたら最強じゃない?」
技のイメージはぼやけているが、形は見える。
桜子さんのようにスタイリッシュにはできないだろうけど。
…とにかく、トランスは教えてもらったから、これから試行錯誤していこうと思う。
これは頭がものすごく痛くなるのが難点だ、改善できるかな。
そして、ライズの訓練を始めてからちょうど二週間が経った。
今日は影虎さんは来ていない、まあ大人だしお仕事が…うん、お仕事だ。
「おいーっす、久しぶりだな君達ィ!」
「夜科!!」
アゲハが来たことに気付いたマツリ先生が鉄骨たちをガラガラと落としていく。
う、おお……! だから、こういうの苦手なんだって…!
「そういやマツリ先生、あの未来は何年後か調べる方法はないのか?」
「ある…かもしれん。だが私は答えに辿り着く前にゲームをクリアしてしまったからな」
そのヒントをこっちに持ち帰ってくるべく、いろいろ用意した。
日付は曖昧にしか覚えてないから常に持っておくようにしてたんだ、ここまで見ておそらく今日、ネメシスQからの呼び出しがある。
マツリ先生の斜め後ろの空間が捻じ曲がり、ふあふあファーのネメシスQが現れた。
手には携帯らしき機械、ボタンをプッシュし終わると頭の中にベルが鳴り響いた。
ネメシスQ…ああ、ダメQに会うのが楽しみだなぁ。
「オレ達をゲームの駒みてえに扱いやがって! 」
はっっやい!
もはや天性とも言えるライズのスピードだ…やっぱり主人公ってスゴイ。
「テメーは一発ッ!! ブッ飛ばす!!」
アゲハがネメシスQに触れられる距離に近づく手前で謎の空間が現れた。
それに飲み込まれ、一瞬でQの後ろへ転送される。
「無駄だ、止めろ! 頭のベルがやばくならないうちにさっさと準備をするんだ!」
三度目のサイレン世界…ここが一番重要なところだ……ライズを覚えた、技も作った、自分の身は自分で守らなくちゃ。
「ここで覚えた事をどんな時も忘れるなよ、お前たちの成功はPSIの力にかかっている」
せっかく原作に介入してるんだ、単なる気まぐれで放り込まれた異物だからって大人しくしてるわけがない。
自分の身を守りつつ、暴れてやる。
そして
「心配すんなマツリ先生! 雨宮はオレが必ず守る!!」
桜子さんを絶対に悲しませない。
「行って来い! またお前たちに会える事を祈っている!」
視界がゆがんでいく、真っ白な光に包まれ、体が浮かぶ。
「うぁいたっ!」
ま、また受身がとれなかった…! 腰が…!
「満月、平気?」
「あ、さ、桜子さん…大丈夫です」
しかも見られた…はずかしい!
しかし、桜子さんの近くに飛ばされたことはラッキーだったな、探す手間が省ける。
「公衆電話もあるわ…よかった」
スタート地点の目印である公衆電話も近くにあった。
それから全員揃い、電話が鳴り始める。
廃墟で鳴る公衆電話って怖いよね……
「スタートの電話のベルは参加者が集まると鳴る仕組みかい?」
「たぶんね。ネメシスQの意志次第だから必ずしもそうとは言い切れないけど…」
「……もしかして、オレ達しかいないのか?」
…役者は揃ったってか、カブトは現場にいないけど。
これ以上被害が出ないという点においてはいいと思うけど。
アゲハが電話に出る、…うう、相変わらずこれダメだ…酔いそう。
なんだろうこれわざと? 印象に残すため?
だとしたら私も一発かましたい、アゲハよ是非私も一緒に。
「どうやら私たちは積み上げられた廃墟の山の上にいるようね…」
「このままつたって行けば東の山岳地帯に辿りつけそうだ」
「行きましょう、ゲートもそこにあるわ」
アゲハがカブトのものらしき足跡を見つける、カブトはライズも覚えてないし、そう遠くには行ってなさそうだ。
このままオジキの家まで案内してもらおう、ただ問題は……
「雨宮、この地域一帯にテレパシーを飛ばしてくれ。タツオも…まだこの近くにいるかもしれない」
この十分間のおかげでドルキを呼び寄せることになる、脅威と同時にワイズの情報を得るけど…
できるならば戦闘にはなりたくない、でもこれを強引に止めようとすればヒリューは本当に一人で探しに行くだろう。
ここでは誰も死んだりしないけれど、もしかしたら死んでしまうかもしれない、いずれにしても次の召集でワナにかかるのは食い止めたい。
「……」
ぶっちゃけ、勝手に責任感じて勝手なこと頼んでみんなを危険に巻き込むのはいただけない。
しかしそう思ってしまうのもわかる。半身をとられてしまったようなものなのだから。
多分、私も桜子さんやアゲハがいなくなったら同じ事をする。
ヒリューの気持ちはわかる。
だから、ここは好きにさせよう。
次回については手を打てばいい、現代でも、このあとでも。
桜子さんがテレパシーを周辺に飛ばす。
ただ風の音しか聞こえない荒涼とした大地、本州がみんなこうなんだとしたら、まあ律儀に壊してくれたもんですね。
……星将たちがみんなテロレベルのサイキッカーだから、納得っちゃあ納得だけど。
あれ、でもここまで破壊したのはウロボロスだっけ……?
「よし、十分待った! オレ達と一緒に行動する…それでいいなヒリュー!」
「…ああ、男に二言はねえ」
「行きましょ、いつまでもここにいるのは危険だわ」
ここからカブトのオジキの家までかなり近いはず、走ったりはしてないようだ…
できるだけ早く彼に追いつきたいものだ。
「グズグズしてないで、私について来なさい!!」
はあーい、桜子さん。
しかし早い…いつもながらライズが冴えてます、爪の垢が欲しいレベルで。
「オイオイ、あれについていけってのか…」
「ヒリュー!! オレ達のライズの力はこの世界では何倍にも跳ね上がるんだぜぇ!?」
ポーンと飛び跳ねるアゲハ、天空に舞う羽のようだなんつって。
「ダーハッハッハ! 気持ちイイーッ!!」
「オレはテメェみたいなスピード重視のライズじゃねぇっての」
「おーおー、飛ぶねえ」
その横でもラクラクという風に跳ぶ朧さんに、ヒリューはため息をついた。
「…まあ、あれだ、咬ませ犬の宿命というか…がんばれ」
「ダレが咬ませ犬だ…オイ」
う、女相手でも容赦なく殴りかかってくるこの感じ…ここは逃げるが勝ち!
「待てッ!」
「待ちません!」
「ハハ、楽しそうだねえ」
ム、桜子さんの姿確認! カブトもいるなあ。
なんとか…追いついた、と、桜子さんに対して近いよカブト。
それにアゲハも気付いたのか。
「どーん!!」
もいっちょおまけにどーん!……しないけど。
カブちゃんは後々頑張ってくれる予定だから、なにもしません。
…さて、ここからどうするかね。
