腐っても時渡り 原作沿い編
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ただいま、から。
帰ってすぐにヴァンくんのところへ向かった、いったいどこまで治療できるかわからないけど、このままにもしておけない。
「わぁ…ボク禁人種の治療なんて初めてしますよ!」
「うん、だと思うよ……よろしくね」
治療室で07号さんと「わたし」が顔を合わせる、何か通じ合えそうな感じはするが。
「ふあ……こんなに長く発動したの久しぶり…ちょっと寝てくね……」
「そっか、ありがとリコ。おやすみ……あ、ヴァンくん、よかった?」
「いいですよ。彼女がここで寝るのはいつものことですし」
「そうなんだ…やっぱり、みんなのそばは安心できるのかな……本当にありがとう」
お礼なんていりませんよ、と言いながらヴァンくんは眠るリコを温かな眼差しで見た。
きっと、私と同じ気持ちだ。
今回は特に怪我をしてないので、私はそそくさと退散することにした。
あ、でもその前に。
「ねえ。…………ミツキ」
『なに』
「……あのね、未来を知ってるから、危険に飛び込むの。私一人だけで生き延びたくないから……わかるでしょ?」
『…わかった……すこし、考える』
それだけ聞いて、私は部屋から出た。
一人で生き残った時の気持ちは、あの人がよく知っているはずだ。
「満月っ! 無事なのね…?」
「あ、うん、治療が必要なのは私じゃないから…」
「シャオくんから聞いたわ。禁人種を連れてきたそうだけど…」
「うん……こういう人って説明できたらいいんだけど、実はまだよくわかってないんだ、私の双子の姉らしいけど」
どこから話せばいいかわからない、どこまでなら話せるのか、漫画や私の元いた世界の話はまだできないのだろうか。
逆に、そこだけ避ければおおよそのことは話せそうではあるか。
食堂であたたかいお茶を飲むと、いままでの緊張が溶かされていくようだった。
ヴァンくんとリコ以外みんないて、私が落ち着くまでじっと見ていた。
別の意味でも緊張してきたけど、要点だけはまとめないと…上手く話せればいいな。
「まず…さっき連れてきた自称双子の姉のおかげで制約をかけられてて話せない部分があるってことを言っておくね」
「それは…あの時病院で話そうとしてたみたいなことか?」
「うん。それに関すること以外なら話せると思う……見た目は禁人種だけど、多分、安全。攻撃的な性格なら連れてこなかったよね?」
シャオくんに聞くように視線を向けると、静かに頷いてくれた。
「精神状態は非常に安定していて、僕たちに危害を加えるつもりは無いようだったのでここまで連れて来ました」
「元々サイキッカーだったみたいで、W.I.S.E に実験体として改造された、って…それで失敗して、棄てられて…心残りは双子の妹の命だったみたい、私のことらしいけど…」
正確にはこの体のだけど、すこしややこしいから省くことにする。
「制約がどうなってるかわからないから詳細は省くね、でもどうやら、全部自分を殺させるために仕組んだみたい、一番は私の命だったんだろうけど」
「妹に自分を探させて殺させようとしたってこと? イカれてるわね…」
「フレデリカ」
これに関しては、私はなにも言えないな……そう思うけど、そうも言ってられないというか、複雑だ。
それで……あの人は「私」に私を埋め込んだわけだけど……とここまで考えて、ふと気付いた。
この世界に来たのはあの人のPSIによるもの、ネメシスQに選ばれたのは、ただの偶然?
「改変で…異形から人に実験体が……それで私を……改変の影響………?」
「ど、どうした?」
私がこの世界に来てリコをあいつらから奪った、イルミナの実験体が人間に変わってあの人は巻き込まれて……
この時間軸でPSIを練り私をこの体に……私の影響でこうなったなら、リコがここにいることも歴史に織り込み済みってことになる…最初から…決められて…?
でもそれなら改変前に私をここに送ってきたのは…元々の未来はあのままのはず……いや、本当に……???
「パラドックスだ…どこか捻じれてる…そもそも不確定な……んんんんん~~~~~わかんない!!!」
「満月さん!?」
「満月、落ち着いて…!」
「へいき、平気です、落ち着いてる……このあたりも、話せるかわかんないとこだから…意味もわかんないし」
次元って、事象って、そもそも時間の概念すらわからなくなってきたところだ。
「んー……つまりさー、ソイツのおかげで満月はここにいて、ソイツに危険はいまのところないってことだろ?」
「今の状態でわかるのは、ってとこだけど…」
「じゃあ、それでいいんじゃん? 難しく考えたってしょうがねェよ。みんな無事ならさ」
と、カイルの一言でごちゃごちゃしていた頭の中がすっきりとした、そっか、そうだよね。
難しく考えたところでどうせわかりはしないんだし、それなら、今まで通りやるしかない、そういうことだよね。
「それでいいのかなァ…?」
「んー……まあ、問題があればサクッとやっちゃってかまわないよ、あの人も私も」
あ、なんか、変に沈黙が。
ごす、と痛い音がした、私の頭で。
「そういう問題ちゃうわ、このアホンダラッ!!」
「冗談でもそんなこと言わないでください!」
怒られた、そりゃそうだ。
うん…さっきまでは大丈夫だと思ってたけど、気のせいだったみたいだ。
「ごめん……ちょっとね、ゲロ吐くほどショックなこと知ったから、すこしヤケになってた…あの人が制約を解いてくれれば全部話せるから…あんま、気にしないで」
「気にすんな、って言われてもなー……」
わかる。そう言われても気にしないわけにはいかないよね。
……でもだからといって他に気の利いたこと言えないわけで、どうすればよいやら。
「…大丈夫よ、満月も、満月のお姉さんのことも、みんな信用してるから」
「そ、れは……へへ、ありがたいね…」
「でも、根のみんなにはどうやって説明するつもり? 安全だと思う、じゃ不安は解消されないわよ?」
「あー……」
沈黙。う、うん、ただでさえ毎日が不安な状況だ、手を間違えればパニックになりうる。
あの人とW.I.S.E がイコールで結ばれるだろうし、もしもなにか、あったら……んん?
なにか、事件があったら……?
うすぼんやりとしたイメージに派手な虫食い跡が残る、この先の出来事でとても重要なことがあったはずなのに。
さー、と血の気が引いていく、嫌な予感って当たるものなのかしら。
「満月? 顔色が悪いわよ…?」
「どうかしたのか?」
「待って、これ、あの人になんとかしてもらわないと…これ、話せないことだと思う…待って、待ってて!!」
私は急いで医務室に戻り、扉を荒々しく…は自動扉だからできなかったので、開くまで待った。
「ミツキ!!」
「ちょっとっ、大きな声は…!」
「ご、ごめん…とにかく、ねえ、さっきは考えるって言ってたけど答えは決まった? ていうか解除してもらわないと困るんだけど、ここの人たちが危ないかもしれないの!」
『それは、あなたの知ってることで?』
「そう! いろいろあって、あやふやだけど、あなたが疑われるかもしれない…それはヤダ!!」
素直に、それは嫌だと思った、みんなに迷惑がかかるのもだけど、悪くないのに疑われるのが一番嫌だ。
「正直まだ許せるとは思えないけど……でも、それとは関係ない事件であなたが疑われるのは嫌なの! 全然、覚えてないし起こるかもわからないけど…お願いだから……」
しばらく沈黙が続く。
なにか言えればよかったが、これ以上私から言えることはなにもない、本心は全て出してしまった。
「……」
『…………終わった』
「…え?」
すると、頭の中からプツンという音がするのが聞こえた、終わったっていうのは。
「もう、話せるの?」
『ええ……わたしは、あなたが生きていればいい。わたしのことを知った以上、死ねなくなったでしょう?』
「…うん」
もしかしたら、それが狙いだったのかもしれない。
元が自分とはいえ別の自分の体だとわかったら、容易に死ねなくなってしまった。
「あの、満月さん…ここが危ないっていうのは…!?」
「あっ ご、ごめんヴァンくん! あの、その、あやふやでもしかしたらってだけだから…! シャオくんたちにも話して対策打ってもらうね! 邪魔してごめんね!」
「……またボクだけのけ者ってことですか…」
「あ…あああ……み、みんなー!! ヴァンさまの治療室にしゅーごー!!」
――うん、最初からこうすればよかったんだね。
「まったくもー! 大事な話なのにボクらだけ子供あつかいするなんて!!」
「そーだそーだ!! わたしたちもエルモア・ウッドのいちーんなのに!!」
ぶーぶー、と不満を叫ぶ二人、リコもこの騒ぎで目を覚ましてしまった。
ともあれ…みんなに話しておけば対策も出しやすいだろう、ほんと最初からここで話せばよかった。
「…で、制約を解除してくれたので、ようやく話せるから言うね? 信じてもらえるかは別として…」
「もったいつけずに話せよ」
「うん……えーっと……私、この世界の未来はだいたい知ってるの」
長い沈黙。
「……どういうことだ? 予知ってことか?」
アゲハが一番最初に口を開いた、うん、切り出したはいいけど…どう話そうか。
