再会①
それはほんとに偶然だった。
休みの日にふらっと出かけたショッピングモールで、なんとはなしに雑貨をみている時、ふと懐かしい声で名前を呼ばれた気がした。
気のせいかなと思ったが振り返ると
「やっぱり朋子だ。ひさしぶり」
そこには、穏やかな笑顔を浮かべるさゆきの姿があった。
そのまま、2人は近くのカフェに入った。
「すごい偶然」
「ほんとほんと」
聞けばさゆきも、なんとなく気晴らしにショッピングモールに来て、特に予定は決めていなかったらしい。
「なんとなくぶらぶらしてたら朋子に似た人いる!と思ったら、ほんとに朋子でさ。思わず声かけちゃった」
そういって笑うさゆきは、昔のさゆきとかわらなかった。
さゆきとは数年会っていなかったけれど、声をかけてくれたことが朋子は嬉しかった。
脱退後、なんというか、少し気まずかったのだ。こちらは全然壁をつくっていなかったけれど、生真面目なさゆきは、自分からJuiceに線をひいたから。
勿論、オリメンの5人は連絡自体はとっていたけれど、周年のあつまりなどもさゆきは気を使ってくることはなかったから。
「さゆきも、元気そうじゃん」
「うん、まぁまぁね。朋子も元気そうでよかった。体調はどう?」
「最近は安定してるかな」
そういうと、よかった、と目を細めて笑う。
Juiceを離れても、メンバーの情報は目にしているらしいところがさゆきらしかった。
「みんな、元気してる?」
「うん。こないだゆかちゃんとやなみんに会ったよ、元気そうだった」
「そっか」
「さゆきは?みんなに会ったりしてないの?」
「うーん、会いたいけど…なんかね」
そういってアイスコーヒーのストローをくるくる回す。
なんかね、には色々な感情がまざっている気がした。
「ねえさゆき」
「ん?」
アイスコーヒーを飲んでる子犬みたいな黒目がこちらをみる。
ベイビーフェイスは変わらぬさゆきだ。
「これを機会にってわけじゃないけど、これからはさ。ちょくちょく会おうよ。
ほら、私も引退して時間もそれなりにあるしさ」
「…」
さゆきの目が一瞬泣きそうになったきがした。
「たまには暇な金澤のお茶にでもつきあってよ」
おちゃらけてそう言うと、
「…うん」
小さく笑ってさゆきが頷く。
「しょうがないなぁ、暇な朋子につきあってやるか」
「そういうおまえも暇だろさゆきぃ」
「うわぁ、その絡みだるいだるい」
そういって笑い合う。
ひさびさの懐かしい空気。
グループにいた頃はいつもこんなんだったなと懐かしく思う。
ひとしきり最近の近況を話し合ったあとにそういえばさ、とさゆきがきりだした。
「朋子は佳林とは最近会ってるの?」
さゆきにとってはなにげない振り。
だけれど、朋子の心臓が一度トクリとはねた。
「…最近は会ってないかな。ソロ活動の方も忙しいみたいだし、ゆかちゃんはお仕事で会ったりしてるみたいだけど」
「そっか。佳林、卒業してもがんばってるもんね」
そういって笑うさゆき。
その顔には少しの羨望があるように感じた。
朋子には何となくその想いが分かるような気がした。
「かりんて、ほんとにアイドルだよね。
自分がそういうの降りたのもあるかもだけど、
卒業してもキラキラしてるし、すごいなって思うよ」
「佳林は昔からそういうとこあったしね、加入時なんてギラギラしてたし、まぁ、私もだけど」
そういってにひひと笑うさゆきに朋子は目を細めた。
「さゆきは?
歌、やらないの?」
「…わかんない。きしもんみたいに歌に貪欲てわけでもないし、あそこまでのガッツもないかもしれない」
「きしもん、すごいよね。路上ライブとかもしてるし。同期として尊敬するよ」
「…私は、歌は好きだけど、歌で誰かを笑顔に、とか、この想いを届けたいみたいな強い気持ち、足りないのかもしれない。中途半端だよね」
「そんなことないよ……」
それは、朋子も同じだ。
歌を歌うのは好きだけど、どうしていきたいとか、どうしたいみたいな強い想いや明確なビジョンはなかった。
続けていきたい気持ちは勿論あったけれど、どうしても諦めきれないまでの情熱はなかったかもしれない。
さゆきとそこは似ているのかもしれない。
少し話がしめっぽくなりそうな所で、さゆきが空気をかえるように
「あーあ、佳林にもひさびさに会いたいな」
とからっと笑った。
「佳林、友達いないってよくいってるし、それ聞いたら喜ぶと思うよ?」
「それいうなら朋子が言ったほうが喜ぶでしょ。佳林からあんなにラブコールされてたんだし」
「…あれは、まぁファンサービスみたいなものだから」
そんなことないでしょ、と突っ込まれたけど、朋子は曖昧に笑った。
「今度会うときはさ、朋子から佳林にれんらくしてくれる? あたしからだとなんか、ちょっと恥ずかしいから」
そういって照れるさゆきに朋子は小さく笑った。
「うん、…伝えとく」
さゆきとはまたね、と笑ってカフェの前で別れた。
なんだか久々に温かい気持ちになったきがする。
さゆきは、かわっていなかった。
勿論、会わない間にいろいろと変化した部分もあるかもしれないが、話をしたらすぐあの頃の2人に戻れる感覚。
人の本質は、かわらないのかもしれない。
何年たっても、きっと、私たちは集まればあの頃に戻れる。
グループで切磋琢磨して磨かれた絆は確かに存在している、それがなんだか誇らしかった。
そして思う。
私と佳林も、会えばあの頃に戻れるのだろうか。
休みの日にふらっと出かけたショッピングモールで、なんとはなしに雑貨をみている時、ふと懐かしい声で名前を呼ばれた気がした。
気のせいかなと思ったが振り返ると
「やっぱり朋子だ。ひさしぶり」
そこには、穏やかな笑顔を浮かべるさゆきの姿があった。
そのまま、2人は近くのカフェに入った。
「すごい偶然」
「ほんとほんと」
聞けばさゆきも、なんとなく気晴らしにショッピングモールに来て、特に予定は決めていなかったらしい。
「なんとなくぶらぶらしてたら朋子に似た人いる!と思ったら、ほんとに朋子でさ。思わず声かけちゃった」
そういって笑うさゆきは、昔のさゆきとかわらなかった。
さゆきとは数年会っていなかったけれど、声をかけてくれたことが朋子は嬉しかった。
脱退後、なんというか、少し気まずかったのだ。こちらは全然壁をつくっていなかったけれど、生真面目なさゆきは、自分からJuiceに線をひいたから。
勿論、オリメンの5人は連絡自体はとっていたけれど、周年のあつまりなどもさゆきは気を使ってくることはなかったから。
「さゆきも、元気そうじゃん」
「うん、まぁまぁね。朋子も元気そうでよかった。体調はどう?」
「最近は安定してるかな」
そういうと、よかった、と目を細めて笑う。
Juiceを離れても、メンバーの情報は目にしているらしいところがさゆきらしかった。
「みんな、元気してる?」
「うん。こないだゆかちゃんとやなみんに会ったよ、元気そうだった」
「そっか」
「さゆきは?みんなに会ったりしてないの?」
「うーん、会いたいけど…なんかね」
そういってアイスコーヒーのストローをくるくる回す。
なんかね、には色々な感情がまざっている気がした。
「ねえさゆき」
「ん?」
アイスコーヒーを飲んでる子犬みたいな黒目がこちらをみる。
ベイビーフェイスは変わらぬさゆきだ。
「これを機会にってわけじゃないけど、これからはさ。ちょくちょく会おうよ。
ほら、私も引退して時間もそれなりにあるしさ」
「…」
さゆきの目が一瞬泣きそうになったきがした。
「たまには暇な金澤のお茶にでもつきあってよ」
おちゃらけてそう言うと、
「…うん」
小さく笑ってさゆきが頷く。
「しょうがないなぁ、暇な朋子につきあってやるか」
「そういうおまえも暇だろさゆきぃ」
「うわぁ、その絡みだるいだるい」
そういって笑い合う。
ひさびさの懐かしい空気。
グループにいた頃はいつもこんなんだったなと懐かしく思う。
ひとしきり最近の近況を話し合ったあとにそういえばさ、とさゆきがきりだした。
「朋子は佳林とは最近会ってるの?」
さゆきにとってはなにげない振り。
だけれど、朋子の心臓が一度トクリとはねた。
「…最近は会ってないかな。ソロ活動の方も忙しいみたいだし、ゆかちゃんはお仕事で会ったりしてるみたいだけど」
「そっか。佳林、卒業してもがんばってるもんね」
そういって笑うさゆき。
その顔には少しの羨望があるように感じた。
朋子には何となくその想いが分かるような気がした。
「かりんて、ほんとにアイドルだよね。
自分がそういうの降りたのもあるかもだけど、
卒業してもキラキラしてるし、すごいなって思うよ」
「佳林は昔からそういうとこあったしね、加入時なんてギラギラしてたし、まぁ、私もだけど」
そういってにひひと笑うさゆきに朋子は目を細めた。
「さゆきは?
歌、やらないの?」
「…わかんない。きしもんみたいに歌に貪欲てわけでもないし、あそこまでのガッツもないかもしれない」
「きしもん、すごいよね。路上ライブとかもしてるし。同期として尊敬するよ」
「…私は、歌は好きだけど、歌で誰かを笑顔に、とか、この想いを届けたいみたいな強い気持ち、足りないのかもしれない。中途半端だよね」
「そんなことないよ……」
それは、朋子も同じだ。
歌を歌うのは好きだけど、どうしていきたいとか、どうしたいみたいな強い想いや明確なビジョンはなかった。
続けていきたい気持ちは勿論あったけれど、どうしても諦めきれないまでの情熱はなかったかもしれない。
さゆきとそこは似ているのかもしれない。
少し話がしめっぽくなりそうな所で、さゆきが空気をかえるように
「あーあ、佳林にもひさびさに会いたいな」
とからっと笑った。
「佳林、友達いないってよくいってるし、それ聞いたら喜ぶと思うよ?」
「それいうなら朋子が言ったほうが喜ぶでしょ。佳林からあんなにラブコールされてたんだし」
「…あれは、まぁファンサービスみたいなものだから」
そんなことないでしょ、と突っ込まれたけど、朋子は曖昧に笑った。
「今度会うときはさ、朋子から佳林にれんらくしてくれる? あたしからだとなんか、ちょっと恥ずかしいから」
そういって照れるさゆきに朋子は小さく笑った。
「うん、…伝えとく」
さゆきとはまたね、と笑ってカフェの前で別れた。
なんだか久々に温かい気持ちになったきがする。
さゆきは、かわっていなかった。
勿論、会わない間にいろいろと変化した部分もあるかもしれないが、話をしたらすぐあの頃の2人に戻れる感覚。
人の本質は、かわらないのかもしれない。
何年たっても、きっと、私たちは集まればあの頃に戻れる。
グループで切磋琢磨して磨かれた絆は確かに存在している、それがなんだか誇らしかった。
そして思う。
私と佳林も、会えばあの頃に戻れるのだろうか。
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