オリジナル2
知らせを受け、程なく柚子達と合流した白猫ブランは3人からの報告を耳にするとしばらく考え込んだ後にきっぱりと言った。
「後はワタクシがやるニャ。3人はここで待機」
「先生!?柚子達まだやれるよ!あの子はきっと、怖がってただけなんだよ、だから」
「駄目ニャ。ワタクシに任せるニャ」
「お願い先生!柚子に、柚子にもう一回行かせて!あの子は、あの子は悪い子じゃない!」
柚子が白猫に詰め寄ると、色違いの瞳がきつい光を宿して柚子を見る。
「これは実戦だが、君達にとっては授業だ。対象が生徒に危害を及ぼす危険があり、かつその手に余ると分かれば、それ以上の無理をさせないのが我々教師の責務である。異論は一切受け付けない」
白猫の「教師として」の真剣な声に柚子はそれ以上何を言う事なく変身を解く。
大紙は小さく鳴くと光の玉になり髪飾りに入る。
更紗の風絽、刹那のクロも同様に光の玉になり、各々の主の元へ帰る。
それはブランに従う意思表示であり、3人の行動をきっちりと見定めた白猫は精霊のいる方をきっ、と見据え、その表情とは正反対の優しい声に戻る。
「大丈夫ニャ。悪い様にはしないニャ」
それだけを告げると、白猫はぽん、と茂る木々の中へ身を投げる。
猫なら道など無くても目的地へ辿り着くなど朝飯前なのだ。
取り残された3人は白猫の消えた方を見つめたまま黙り込んだ。
しばらくの沈黙から空気を変えたのは柚子だった。
「あの子、先生に任せちゃった…柚子達はまだまだだねえ」
「そう…ね、まだまだ勉強が足りないわ」
少しばかり暗い顔をしていた更紗がそう言うと、刹那もそれに頷く。
「先生に頼らない様に勉強、頑張らなくちゃ。ね、更紗ちゃん、刹那ちゃん」
そう言って柚子がにっこりと笑うと、今までの重苦しい空気が少しだけ軽くなる。
それからは白猫ブランからの連絡を待つ、という使命を3人は少女らしい他愛ないお喋りで果たす事になり、程なくして入ったブランからの連絡でまた3人は先程の場所へと足を踏み入れていた。
辿り着いたそこにいたのは、満足気に前足を舐める白猫と、ろうそくの火より少し大き目の炎の塊。
「先生、その子…」
柚子が言うと、白猫は両目を細める。
「おかみさんはこの子を実に気に入っているニャ。この子も、実はおかみさんが大好きニャ。お互いにあるその気持ちは、精霊にも人間にもとても大事なものニャ」
白猫ブランはそう言うと一言何やらもごもごと唱える。
瞬間、柚子の目の前に銀色の鳥籠が現れる。
「これにこの子を入れて、早くおかみさんに会わせてあげるニャ。きっと待ってるニャ」
「…うん!」
柚子は嬉しそうに鳥籠を手にすると、小さな炎に話しかける。
「さっきは、びっくりさせちゃってごめんね?おうちに、帰ろう?」
炎は何も話さなかった。
が、まるで柚子の言葉に答える様にふわふわと、まるで迷子の子供が親を見つけた時の様にはずんで揺れ、開いた入口からすい、と中へ入ると真ん中でぴたりと止まった。
「ちゃんと届けたら授業は終わりニャ。皆で学園に帰るニャ」
「はい、先生」
少女3人の声が揃う。
白猫は心なしか楽しそうな少女達の後ろを「まだ授業中ニャんだがニャ…」とぼやきながらも優しい目をして歩いていた。
「後はワタクシがやるニャ。3人はここで待機」
「先生!?柚子達まだやれるよ!あの子はきっと、怖がってただけなんだよ、だから」
「駄目ニャ。ワタクシに任せるニャ」
「お願い先生!柚子に、柚子にもう一回行かせて!あの子は、あの子は悪い子じゃない!」
柚子が白猫に詰め寄ると、色違いの瞳がきつい光を宿して柚子を見る。
「これは実戦だが、君達にとっては授業だ。対象が生徒に危害を及ぼす危険があり、かつその手に余ると分かれば、それ以上の無理をさせないのが我々教師の責務である。異論は一切受け付けない」
白猫の「教師として」の真剣な声に柚子はそれ以上何を言う事なく変身を解く。
大紙は小さく鳴くと光の玉になり髪飾りに入る。
更紗の風絽、刹那のクロも同様に光の玉になり、各々の主の元へ帰る。
それはブランに従う意思表示であり、3人の行動をきっちりと見定めた白猫は精霊のいる方をきっ、と見据え、その表情とは正反対の優しい声に戻る。
「大丈夫ニャ。悪い様にはしないニャ」
それだけを告げると、白猫はぽん、と茂る木々の中へ身を投げる。
猫なら道など無くても目的地へ辿り着くなど朝飯前なのだ。
取り残された3人は白猫の消えた方を見つめたまま黙り込んだ。
しばらくの沈黙から空気を変えたのは柚子だった。
「あの子、先生に任せちゃった…柚子達はまだまだだねえ」
「そう…ね、まだまだ勉強が足りないわ」
少しばかり暗い顔をしていた更紗がそう言うと、刹那もそれに頷く。
「先生に頼らない様に勉強、頑張らなくちゃ。ね、更紗ちゃん、刹那ちゃん」
そう言って柚子がにっこりと笑うと、今までの重苦しい空気が少しだけ軽くなる。
それからは白猫ブランからの連絡を待つ、という使命を3人は少女らしい他愛ないお喋りで果たす事になり、程なくして入ったブランからの連絡でまた3人は先程の場所へと足を踏み入れていた。
辿り着いたそこにいたのは、満足気に前足を舐める白猫と、ろうそくの火より少し大き目の炎の塊。
「先生、その子…」
柚子が言うと、白猫は両目を細める。
「おかみさんはこの子を実に気に入っているニャ。この子も、実はおかみさんが大好きニャ。お互いにあるその気持ちは、精霊にも人間にもとても大事なものニャ」
白猫ブランはそう言うと一言何やらもごもごと唱える。
瞬間、柚子の目の前に銀色の鳥籠が現れる。
「これにこの子を入れて、早くおかみさんに会わせてあげるニャ。きっと待ってるニャ」
「…うん!」
柚子は嬉しそうに鳥籠を手にすると、小さな炎に話しかける。
「さっきは、びっくりさせちゃってごめんね?おうちに、帰ろう?」
炎は何も話さなかった。
が、まるで柚子の言葉に答える様にふわふわと、まるで迷子の子供が親を見つけた時の様にはずんで揺れ、開いた入口からすい、と中へ入ると真ん中でぴたりと止まった。
「ちゃんと届けたら授業は終わりニャ。皆で学園に帰るニャ」
「はい、先生」
少女3人の声が揃う。
白猫は心なしか楽しそうな少女達の後ろを「まだ授業中ニャんだがニャ…」とぼやきながらも優しい目をして歩いていた。