オリジナル2
「刹那、それは素っ気なさすぎるわ。クロちゃんはずっと刹那といるのに、家族とか、友達とかあるでしょ?」
「そんなの、何も無いわ」
刹那はそう言いながら立ち上がると、飲み物買ってくる、と2人に背を向ける。
黒い狐は素早く刹那を追いかけたが、程なくテーブルへ引き返して来た。
「クロちゃん?どうしたの?」
心配そうに柚子が声をかけると、狐は刹那が座っていた椅子に飛び乗る。
「学園内で危ない事などない、すぐ戻るから付いて来なくても良い、と言われてしもうた」
「刹那ってば…」
「クロちゃんは刹那ちゃんを心配して行ったのにねぇ」
「更紗殿も柚子殿も、先の主の言を気にしてくれるのだの、優しい事」
狐の目がにんまりと細くなる。
目が真っ黒の体に溶けると、目に入るのはふわふわと揺れる尻尾の先にある銀色。
「主は」
狐の紫の目が開く。
「あれで良い。我らは、今のままで良き同胞なのだから」
「はらから?」
「仲間、家族、って感じよ、柚子。刹那は、何もない、って言ってたけど…」
「クロちゃんがそう言うなら大丈夫、なんだね?」
こくり、と狐が頷くと、柚子の目がテーブルの上で止まる。
「あれ?これ…」
柚子の伸ばした手の先にあるのは薔薇柄のタンブラー。
「それ、私と柚子が刹那の誕生日にあげたタンブラーでしょ?どうかした?」
「刹那ちゃん、飲み物買いに行ったんだよね?これ、まだ中身あるよ?」
不思議がる柚子がクロに向かって首を傾げると、狐越しに刹那の姿が見え始める。
柚子の表情でそれに気付いたのだろう狐は更紗と柚子に軽く頭を下げると、刹那に走り寄る。
「あなたは本当に心配性ね、クロ」
狐と一緒にテーブルへ戻ると、刹那は手にしていた水のボトルを置き、タンブラーに口を付ける。
「中身あるのに、どうしてお買い物に行ったの?」
柚子が言うと、刹那は小さく何かを呟く。
瞬間、手のひらに現れたのは小さな杯。
「私のじゃないわ」
紅の杯は狐の手に乗せられ、水が注がれる。
「気遣い痛み入る、主」
「いつもは違うのに今日のお茶は、あなたが飲めないのを忘れてた私も悪いのよ、気にしないで」
素っ気ない、果たして本当に「良き同胞」なのかと不思議に思う会話。
狐も刹那の様子も何ら変わりない。
変なの、と柚子の目は自然と足元の子犬に向き、ぱたぱたと尻尾を振るその姿に笑いかけていた
「そんなの、何も無いわ」
刹那はそう言いながら立ち上がると、飲み物買ってくる、と2人に背を向ける。
黒い狐は素早く刹那を追いかけたが、程なくテーブルへ引き返して来た。
「クロちゃん?どうしたの?」
心配そうに柚子が声をかけると、狐は刹那が座っていた椅子に飛び乗る。
「学園内で危ない事などない、すぐ戻るから付いて来なくても良い、と言われてしもうた」
「刹那ってば…」
「クロちゃんは刹那ちゃんを心配して行ったのにねぇ」
「更紗殿も柚子殿も、先の主の言を気にしてくれるのだの、優しい事」
狐の目がにんまりと細くなる。
目が真っ黒の体に溶けると、目に入るのはふわふわと揺れる尻尾の先にある銀色。
「主は」
狐の紫の目が開く。
「あれで良い。我らは、今のままで良き同胞なのだから」
「はらから?」
「仲間、家族、って感じよ、柚子。刹那は、何もない、って言ってたけど…」
「クロちゃんがそう言うなら大丈夫、なんだね?」
こくり、と狐が頷くと、柚子の目がテーブルの上で止まる。
「あれ?これ…」
柚子の伸ばした手の先にあるのは薔薇柄のタンブラー。
「それ、私と柚子が刹那の誕生日にあげたタンブラーでしょ?どうかした?」
「刹那ちゃん、飲み物買いに行ったんだよね?これ、まだ中身あるよ?」
不思議がる柚子がクロに向かって首を傾げると、狐越しに刹那の姿が見え始める。
柚子の表情でそれに気付いたのだろう狐は更紗と柚子に軽く頭を下げると、刹那に走り寄る。
「あなたは本当に心配性ね、クロ」
狐と一緒にテーブルへ戻ると、刹那は手にしていた水のボトルを置き、タンブラーに口を付ける。
「中身あるのに、どうしてお買い物に行ったの?」
柚子が言うと、刹那は小さく何かを呟く。
瞬間、手のひらに現れたのは小さな杯。
「私のじゃないわ」
紅の杯は狐の手に乗せられ、水が注がれる。
「気遣い痛み入る、主」
「いつもは違うのに今日のお茶は、あなたが飲めないのを忘れてた私も悪いのよ、気にしないで」
素っ気ない、果たして本当に「良き同胞」なのかと不思議に思う会話。
狐も刹那の様子も何ら変わりない。
変なの、と柚子の目は自然と足元の子犬に向き、ぱたぱたと尻尾を振るその姿に笑いかけていた