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繚乱〜朧月

次の日の朝早く。
朝日が間もなく上るだろう頃。
眠る弟妹を起こさない様に私は家を出た。
見送る父の顔は少し寂しそうに見えたが、私が「大丈夫。頑張るからね」と笑うと、ほっとした表情になった。
昨日の女性は村の外れで待っていてくれた。
「宜しく、お願いします」
父と繋いでいた手が放され、女性と繋がる。
女性は父に二言三言、難しい事を話すと、私に「行きましょう」と告げた。
江戸までは長い道のりだし、ここから先、私に何が起こるのかは全く分からない。
でも私には守らなくてはいけない「家族」がいるのだと、自覚したのはきっと、村から離れた瞬間だったのだろう、私は一度も振り返らなかった。
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