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繚乱〜東雲

そして今日も桜花廓の扉が開く。
格子の向こうには色とりどりの着物を来た色子達が賑やかに居並ぶ。
「こんばんは。話は茶屋から通ってると思うけど」
桜色の暖簾を潜り抜けた若い男が出迎えた番頭に話を通すと、番頭は格子の中にいる一人を声高に呼ぶ。
「東雲、お客様だよ」
「はい」
返事をしたのは栗色の髪の色子。
気怠げに紐だけで結い上げた髪に似合う暗い茜色の着物。すらりとした体躯は着物の上からでもしなやかで、長い手足はまるで柳の様に揺れる。

桜花廓の華やかな長い夜は、これから始まる。



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