繚乱〜終章
その後、冬が本格的に訪れ、何度か雪も降り、火鉢が常に火を蓄えなくてはならなくなった頃。
近藤は仕事の的の所在地や行動範囲などを九重の家の者達にも協力を頼み、自分も日夜街を歩き回って情報収集に奔走する。
おかげですっかり桜花から足が離れているのたが、それを埋め合わせる様に近藤は朧月と紅葉宛てに様々な小物を手配する事を忘れない。
朧月にしてみれば、小物よりも近藤に来て欲しいと思う。
なぜならば、出来るだけ早く廓に残ると決めた事を話さなくてはならないのだから。
が、桜花に来ると言う事は即ち、大枚を叩くと言う事だ。
近藤にとて日々の暮らしがあるのだし、幾らか「仕事」で自由に使える金の都合がついたとしても、そう簡単に桜花に来る訳にはいかないだろう。
紅葉もそれを分かっていて、最近では「主様は来られませんね」の代わりに「主様、お変わりないでしょうか」と近藤を案じる言葉を口にする様になっている。
「花魁が、新造に上がる禿を決めるのは年末ですから、年明けに近藤様が来て下されば、お知らせ出来ますね、紅葉」
朧月がそう言って紅葉の髪に今朝方届いた髪飾りを付けると、紅葉ははい、と笑う。
結果。
師走の日々は皆が思うよりも早く過ぎ、各々が別々の場所で除夜の鐘を耳にし、新しい年を九重屋、桜花廊それぞれで祝う。
朧月は近藤を、近藤は朧月を。
耳に聞こえる年末から年始への賑わいの中、二人はお互いの想いを抱いたまま、新しい年の始まりを楽しんでいた。
近藤は仕事の的の所在地や行動範囲などを九重の家の者達にも協力を頼み、自分も日夜街を歩き回って情報収集に奔走する。
おかげですっかり桜花から足が離れているのたが、それを埋め合わせる様に近藤は朧月と紅葉宛てに様々な小物を手配する事を忘れない。
朧月にしてみれば、小物よりも近藤に来て欲しいと思う。
なぜならば、出来るだけ早く廓に残ると決めた事を話さなくてはならないのだから。
が、桜花に来ると言う事は即ち、大枚を叩くと言う事だ。
近藤にとて日々の暮らしがあるのだし、幾らか「仕事」で自由に使える金の都合がついたとしても、そう簡単に桜花に来る訳にはいかないだろう。
紅葉もそれを分かっていて、最近では「主様は来られませんね」の代わりに「主様、お変わりないでしょうか」と近藤を案じる言葉を口にする様になっている。
「花魁が、新造に上がる禿を決めるのは年末ですから、年明けに近藤様が来て下されば、お知らせ出来ますね、紅葉」
朧月がそう言って紅葉の髪に今朝方届いた髪飾りを付けると、紅葉ははい、と笑う。
結果。
師走の日々は皆が思うよりも早く過ぎ、各々が別々の場所で除夜の鐘を耳にし、新しい年を九重屋、桜花廊それぞれで祝う。
朧月は近藤を、近藤は朧月を。
耳に聞こえる年末から年始への賑わいの中、二人はお互いの想いを抱いたまま、新しい年の始まりを楽しんでいた。