片思い*緑谷(爆豪)
「…わりぃ」
泣いた私を見て、ギョッとした顔で驚く爆豪くんが小さく謝る。
「ううん…爆豪くんは何も悪くない。ごめん」
これは悲しい涙とかではなくて、爆豪くんの言葉に反射的に出てしまった涙。
他人の為に自分を諦めるな…か。確かに、お茶子ちゃんの事とかデクくんの現状とか、色々なことを言い訳にしていた。
大事なのは私が今どう思っていて、どうしたいか…ってことを伝えてくれた爆豪くん。
「ありがとう、爆豪くん」
「決まったんかよ」
「うん。ちゃんと、振られてくるよ私」
ご馳走様、とお皿をテーブルに置いて涙を拭く。
こんな考え事ばかりしてウジウジ悩んでいるなら、スッキリした方がいい。
デクくんがどう思うか分からないけれど、もしかしたらこの先ギクシャクしてしまうかもしれないけど…それでも、伝えよう。
「振られたら慰めてくれる?爆豪くん」
「ハッ…どうだかな」
「デクくんに振られたら勉強教われないかもしれないから、爆豪くん勉強教えてね」
「そんなん幾らでも教えてやるわ」
ニヤッと口元を上げた爆豪くん。
私はベッドから立ち上がって、デクくんの部屋へ向かった。
デクくん、これから困らせちゃうけど、ごめんなさい。けど私が私を許せるように、最後まで聞いてもらおう。
「あれ?相澤さん。どうしたの?」
「っデクくん、私ー」
いつもの様に自主練をしていたデクくんの元へ行き、足を止める。
勇気を出せ、私。
言葉が途切れ途切れになっても、途中で止まってもデクくんは優しく、最後までちゃんと聞いてくれた。
その上で、ちゃんと答えを出してくれた。
「ありがとう、デクくん」
優しい貴方を好きになって、本当によかった。
その後私はデクくんと特に気まずくなる事はなかったが、何故かスパルタな爆豪くんに勉強を教わることになった。
Fin