片思い*緑谷(爆豪)
「…成程な」
話を全て聞いた爆豪くんが、目線を逸らし頭を搔く。
「そんな深い意味ねぇだろ」
デクはそんな事まで考えてねぇぞ、と付け足す爆豪くん。
そう、考えすぎと言われればそうなるし私の思い過ごしかもしれない。
けど、私に見せたあのデクくんの表情はただの友達を想うような顔ではなかった。
そう思ってしまう自分がいる以上、私は身を引く以外に選択肢はあるのだろうか。
伝えたって、お茶子ちゃんも苦しめるかもしれないのに。
「私、デクくんの事は…諦めるよ」
「あ?」
「どっちにしろ、今伝える気はないし…卒業するまでには気持ち、無くなってるかもだし」
この気持ちに蓋をしている以上、日に日に増しているこの想いが無くなることなんてきっとない。
けど今はそう考えないと、自分がしんどい。
「…嘘コケや」
「えっ、…」
「ま、お前がそれでいいならいーけどよ…テメェの中でケリつけねぇと凝りは残ったままだぞ」
見透かされているような目で見つめられて、思わず泣きそうになる。
「なんで、今…そんなこと言うの」
「今だから言うんだろ。他人の為に自分の意思諦めてんじゃねぇぞ」
その言葉に涙がポロッと頬を伝った。