片思い*緑谷(爆豪)
「ありがとう、ほんとに優しいね爆豪くん」
「余計な事言ってねぇで食えや。味落ちるだろうが」
「いただきます」
爆豪くんが意外と料理をすることも、料理が上手いことも知っているけど食べるのは初めてかもしれない。
「…美味しい。爆豪くん、上手」
「たりめーだろ」
後ろ姿しか見えないけど、爆豪くんの優しさに感謝しながらご飯を食べた。
「…丸顔が心配してたぞ」
無言を破ったのは爆豪くんで、ボソッと口を開いた。
「丸顔って…お茶子ちゃんだよ。名前覚えなよ」
「うるせ。覚えてるわ」
「…心配、か」
お茶子ちゃんは何も悪くないのに、今はその名前を聞くだけでモヤっとしてしまう。
…嫌だなぁ、自分。この感情からいつか抜け出せる時来るのかな。
「…テメェ、デクと何かあったろ」
爆豪くんがいつの間にか振り向いてベッドに腰掛けている私を見上げた。
…爆豪くんはエスパーか?
「何で…」
「分かりやすいんだよおめーは」
爆豪くんが鋭過ぎるだけなんじゃ…とは言わないでおこう。
爆豪くんは、私がデクくんの事を好きだと知っている。ダイレクトに伝えた訳じゃないけれど何となく察知され、私も否定せずにいるからそうなっているだけだ。
裏を返せば、爆豪くんになら何でも話せる。
私は夕方あった事を簡単に伝えた。