片思い*緑谷(爆豪)
コンコン
どれくらい、ベッドに居ただろうか。眠っていた訳じゃないけど、ただボーッとしている内に時間は淡々と流れていた。
ノックの音に目線を向けて、辺りが真っ暗なことに気づく。
「…はぁい」
「テメェいるなら早く返事しろや」
私の返事とほぼ同時に扉が開いて少しキレ気味に爆豪くんが入ってくる。
「…爆豪くんがノックするなんて珍しいじゃん」
パチッと部屋の電気をつけられ、眩しさと顔を見られたくなくて枕に顔をうずくめる。
「…テメェ体調悪いんかよ」
いつもは皆といる場所にいない、ご飯も食べていないのを心配して爆豪くんが来てくれたのだろう。
爆豪くんは普段は気性荒いけど、私は何かと彼とペアになったり話す機会が多くて男子の中じゃ1番と言っていいほど良く話す。
だから爆豪くんが本当は優しいのを、私は知ってる。
「ううん…大丈夫。ちょっと眠くて」
「嘘つけや。そんなツラしてよく言えんな」
一瞬顔を見られた時に泣いていたのがバレたのか、爆豪くんがドカッと腰を下ろす。
私のベッドに背中を向けたまま、テーブルの上に何かを置いた。
「これなら食えんだろ」
テーブルに置かれたのは私の好きなプリンと親子丼。
まだホカホカと湯気が立っていて後ろから爆豪くんに声をかける。
「これ、私のために作ってくれたの?」
「うるせぇ。食えるならはよ食え」
…爆豪くん、イライラしながら作ってくれたのかな。なんだかその光景が目に浮かび笑みが出る。