片思い*緑谷(爆豪)
「で、デクくん…!?」
「うん、入っていいかな?」
「ちょ、ちょっと待ってね…!」
慌ててベッドから飛び起きて髪の毛を整える。
その辺の散らかった物を端に寄せて、見えるところだけでも綺麗にする。
ガチャッ
「お、お待たせ」
扉の前で立っていたのは本当にデクくんで、緩んでしまいそうな口元を抑えながら笑顔を作った。
「ごめんね、いきなり」
「ううん、全然…暇だったし。どうしたの?」
「相談があって…」
デクくんは真剣な顔をして正座をする。
「…相談?」
「うん、もうすぐ…麗日さんの誕生日って聞いて…何か、あげた方がいいかなって」
デクくんの口からお茶子ちゃんの話題が出て、ドクッと心臓が大きな音を立てた。
「お茶子ちゃんの…」
「あっ!いや、そんな大した理由じゃないんだ!ただいつもお世話になってるし、その…相澤さんと麗日さん仲良いから…」
慌てたように話すデクくんの頬が赤い。
…残酷な事するなぁ、デクくん。確かにお茶子ちゃんと仲良いけど、最近話してないし…梅雨ちゃんに聞いて欲しかったな。
わざわざ、聞きたくない情報を知ってしまった。
「…相澤、さん?」
「…ん、お茶子ちゃん…か。えっと、なんだろ…何か普段使うものとかが良いんじゃない?」
ヤバい、話していて泣きそうになる。ダメだ、ここで泣いちゃデクくんを困らせる。
必死で唇を噛み締めて余計なことを考えないように言葉を並べた。