影響力*爆豪
「リカバリーガールの所だよ。私を呼んでたって」
「…俺も行く」
「え?…どうして?」
普段の勝己くん、こんな事言わないのに…やっぱりおかしい。
「理由なくてもいいだろ」
「別に大丈夫…だけど…勝己くんも用事あるの?」
「ねぇよ」
勝己くんはぶっきらぼうにそう答えて私の前を歩く。
今日は、私の行くところについてくる日なのかな…?なんだか犬みたいで可愛いけど。
「来たね」
医務室の扉を開けると、椅子に座っていたリカバリーガールが顔を向ける。
「私に何か用事ですか?」
「そうさね。実はこれからちょっとばかし留守にするからお前さんに代わり番を頼みたくてね」
よっこらせ、とリカバリーガールは椅子から下りる。
「る、留守番ですか?」
「まあ、空けると言っても2時間程度さね。イレイザーにも言ってあるから安心しな」
何かあったら連絡しな、とだけ言い残してさっさと医務室を出て行ってしまった。
「行っちゃった…」
リカバリーガールが帰るまでの間、ここに居てって事だよね。
雄英の生徒、特にヒーロー科は訓練でも怪我が日常茶飯事だから常に医務室には人がいないといけない。
「勝己くんは教室戻って大丈夫だよ。授業あるでしょ?」
ベッドに腰掛けたまま未だにムスッとしている勝己くん。
「…」
何か言いたげな様子だけど、勝己くんは口を紡いでしまう。
「…勝己くん、今日どうしたの?何かあったなら話して欲しい」
座っている勝己くんの前まで行き、隣に腰掛ける。
手のひらを重ねると、勝己くんは横目で私を見た後顔を寄せた。