ヒーローの性*轟焦凍
なんで、私…あぁ、そうか、ヴィランに襲われたんだっけ…?
今見ていたのは夢…?やけにリアルな夢だった気がする。長いようであっという間な夢。
「お前、3日も寝たままだった」
「…え、うそ…」
3日間…そんなに。
焦凍くん、もしかしてずっと居てくれた…?顔が少しやつれている。
「ごめんね焦凍くん…心配かけて…」
焦凍くんは私の手を握ったまま首を横に振る。
「守ってやれなくて、すまねぇ」
「そんな…焦凍くんは悪くないよ…私が無茶したんだし」
そう、あの時は事務所の先輩に指示を煽るべきだった。男の子が心配で独断で行動を…
「あ、あの男の子は…無事だった?」
「…あぁ、楓が助けた子か?無事だ。治癒してくれたお陰で軽傷だった」
それを聞いて深く息を吐く。
「そっか……良かった…」
あの後、すぐにヒーローが来てくれたのかな。
私みたいにならなくて本当に良かった。
「…なぁ。ヒーロー…やらなきゃ駄目か?」
隣で聞こえた焦凍くんの絞り出すような声に顔を向ける。